ルース・ドフリース『食糧と人類 飢餓を克服した大増産の文明史』

アマゾンから届いたので、修士論文の原稿チェックの合間に、1時間半でレベル3の超速読をした。 本書については、「未来を楽観する10人」をとりあげたUnHerdの記事(下記リンク先)で知った。 https://unherd.com/briefings/unherds-optimists-thinkers-insi…

睡眠に関する本

「決断科学のすすめ」ではさまざまなテーマについて、以下の例のようなブックガイドをつけた。しかし、「睡眠」についてふれることができなかったので、ここで「睡眠」についてのブックガイドを書いて、補足しておこう。 「決断科学のすすめ」において、急い…

『幕があがる』書評

少しかっこつけて言うと、人生は「自分とは何か」を見つけるための、長い旅なのだと思う。そしてその旅の中で、「自分とは何か」をもっとも純粋に考えることができるのは、高校時代だろう。中学生ではまだ考える力が不足だし、大学生になると大人の発想が頭…

アフリカビジネス

日経BPムック アフリカビジネス アフリカ54カ国を一挙解説! 「暗黒大陸」は「ビジネス大陸」に変貌した! 私は中南米の調査経験が長いので、中南米諸国の名前はすべて知っているし、地図上の位置関係もわかる。歴史についてもそれなりの知識がある。アジ…

ももクロの適確な判断力

古市憲寿著『誰も戦争を教えてくれなかった』(講談社)を通勤電車の中で読んだ。著作の本体よりも、巻末に掲載されているももクロの対談のほうが、百倍くらい面白かった。古市さんは大変な勉強家だ。さらに、世界中の戦争博物館を見てまわるという行動力も…

ソーシャル・ビジネスが拓く新たな社会発展

しばらく前に読んだ本のメモをアップロードしておきます。安倍内閣の第三の矢「成長戦略」には、黒田異次元緩和ほどのインパクトがありません。それは、将来の社会へのビジョンを欠いているからではないかと思います。そもそも経済を成長させることで、社会…

フラボノイド事典

文一の新刊をいただいた。695ページの大作。これは事典だ。いや、図鑑というほうが適切かもしれない。頭から通読してストーリーを楽しむ本じゃない。あちこちのページをめくりながら、「フラボノイド」がいかに多様な世界と関わっているかを眺めて楽しむ本だ…

パワー・エコロジー

生態学界のスーパーマリオ、こと東正剛さんが、この3月で北大を退官されるそうだ。この退官記念に、弟子たちが書いた本、そのタイトルはといえば、「パワー・エコロジー」。 http://www.cris.hokudai.ac.jp/koizumi/powerecology.pdf 生態学会書籍売り場で本…

ハーバード白熱日本史教室

ハーバード大学で日本史の講師をつとめる北川智子さんの著書(新潮文庫)。羽田空港12番ゲート前の有隣堂で搭乗前に購入。表紙を見たときは、サンデル先生にあやかった二番煎じ本かと思ったが、とんでもない誤解だった。この人はすごい。ただものではない。…

環境史とは何か

昨年6月28日のブログ「自然共生社会を支える伝統知と科学的思考」で紹介した本がついに出版され、今日、研究室に届いた。タイトルは次のように修正された。 シリーズ「日本列島の三万五千年‐人と自然の環境史」1 環境史とは何か 湯本貴和(編) 松田裕之・…

自然再生ハンドブックとドラッカーのマネジメント

『自然再生ハンドブック』がついに出版された。奥付は昨年のクリスマスイヴ。私にはまたとないクリスマスプレゼントになった。もっと早く紹介記事を書きたかったのだが、年末・年始から今日まで、その時間がとれなかった。 今日は、「自然再生事業指針策定に…

なぜ地球の生きものを守るのか?

今年は国際生物多様性年。10月には、生物多様性条約第10回締約国会議が名古屋で開催される。このため、生物多様性に関する社会的関心が高まっている。福岡―東京便のJALの機内でも、生物多様性に関する広報ビデオが流れ、多くの乗客が「地球のいのち つないで…

「鴨川ホルモー」−バカバカしさを究めるエネルギー

京都に滞在した週末には、ひさしぶりに鴨川べりを歩いた。出町柳の上流側ではちょうど桜が満開であり、下鴨神社の緑、鴨川のせせらぎとのコントラストが心地よかった。鴨川の水は、北山の雲が畑に発し、およそ13kmを流れて出町三角州に至る。ここで高野川…

納棺夫日記

納棺夫日記 増補改訂版 青木新門著 文春文庫 ISBN:97841673230228 映画「おくりびと」のテーマが「愛」であるのに対して、本書のテーマは「死」。宗教観以前に、とりあげているテーマが大きく異なる。本書の著者が、映画「おくりびと」の脚本を読んで、映画…

これからの進化生態学

盛岡に向けて研究室を出る直前に、共立出版から本が届いた。昨年の福岡大会では、2000人規模の大会の準備・運営に忙しくて、本の紹介をする余裕がなかった。今年は生態学会大会にタイミングをあわせて出版された本を紹介したい。参加者のみなさんに少しでも…

論文を書くために読むべき本

今日は定例のEnglish seminar. Chiris Woodさんに論文のイントロダクションに書き方について、英語で講義をしてもらった。私も、"How to write the Introduction" というパワーポイントスライドを用意して、Chiris Woodさんの講義をフォローしながら、英語で…

新入生に薦める本(4)気晴らしの一冊

週末は卒業研究生のN君・D2のYさんと宮崎県に出かけ、ササユリの予備調査。研究室に戻ったら、とんでもない連絡が届いていた。せっかくフィールドで気持ちよい週末を過ごしてきたのに、状況は一気に暗転。 こんなとき、気晴らしに読める本を一冊あげるとすれ…

新入生に薦める本(3)トレンドの一冊

時流に乗った本から一冊を選ぶなら、この本。 合衆国再生―大いなる希望を抱いて (単行本) バラク・オバマ (著), 棚橋 志行 (翻訳) ダイヤモンド社 (2007/12/14) ISBN:9784478003534 時代の転換期に新しいリーダーは生まれる。そのリーダーの力は、言葉だった…

新入生に薦める本(2)必読の一冊

「必読の一冊」を選ぶのは難しい。そもそも、誰もが読まねばならない本など、あるはずがない。 「必読の一冊」が意味するところは、できるだけ広い層の読者に推薦したい本、ということである。薦める相手が新入生なら、理系の学生にも文系の学生にも興味を持…

新入生に薦める本(1)思い出の一冊

九大生協で、「新入生に勧める本」についてまとめた読書だよりを編集することになった。新入生や2年生を教える教員から推薦文を募る。そのためのサンプルを書いたので、このブログでも紹介する。5回続ける予定。今回は、「思い出の一冊」。次回以降、必読の…

熱帯雨林の自然史 東南アジアのフィールドから

明日から日本生態学会が始まるが、今日は上京。1時から日本学術振興会の会議に出なければならない。 日本生態学会前に、新刊を紹介して宣伝したいとこのブログに書いたところ、下記の本を贈っていただいた。 熱帯雨林の自然史 東南アジアのフィールドから 安…

養老院より大学院

久しぶりに、11時前に明日の授業の準備が終わった。10月1日にパリから帰国して以後、週4回の授業+2つの事後評価+科研費+度重なる出張で、苦しかった。2つの事後評価と科研費申請が終わり、授業が週3回に減り、かなり楽になった。とはいえ、依然として…

聴き歩きフィールドガイド奄美

屋久島と比べると、奄美大島の生物相には際立った特徴がある。動物の種類が豊富なのだ。 先日は、オキナワキノボリトカゲを写真で紹介した。トカゲ類では他に、足がきわめて小さなバーバートカゲを見ることができた。 ヤモリの類では、ナキヤモリの別名があ…

「これポ」は卒論向け、レポート執筆用にはミスマッチあり

酒井聡樹著『これからレポート・卒論を書く若者のために』(ISBN:9784320005747)を献本していただいた。その感想を書く。 結論を先に述べよう。この本は、これから卒論を書く人にはお勧めの一冊である。ぜひ読んでほしい。しかし、大学1-2年生がレポートを…

ひさしぶりに本を買う

今日は、午前も午後も会議。午後の会議は文系キャンパスの大教室で、化学物質安全管理支援システムの説明会。これから、実験室で使う化学物質はすべてこのシステムで管理することになるのだ。このシステムの導入はとても良いことなので、「所属薬品管理者」…

テーブルマウンテンの自然史に関するすばらしい本

上の記事は、William Bondさんと分かれたあと、ホテルのレストランで食事をとりながら書いた。 部屋に戻り、ズボンなどを洗濯し、シャワーをあびてから、Kirstenbosch Botanical Gardenのブックショップで購入した次の本を開いているところ。 Anton Pauw and…

『不都合な真実』の書籍版

不都合な真実 アル・ゴア著 枝廣淳子(訳) ランダムハウス講談社 2800円 ISBN:9784270001813 マイナス5度の札幌からプラス10度の東京に来た。15度の温度差の大きさを感じている。 羽田空港の売店で、上記の本を見つけ、さっそく購入した。 写真とグラフが多…

「ダーウィンの足跡を訪ねて」書評へのリンク

しし丸先生の教え shorebird 進化心理学中心の書評など ふっと思って 烏有亭日乗 日日雑記 日々平安録 寿限無の読書録 shorebirdさんの書評のあとに、こう書かれていた。 文一総合出版は一時ダーウィン著作集の構想を打ち出したが,わずか3巻がでたのみで,…

ダーウィンの足跡を訪ねて

ダーウィンの足跡を訪ねて 長谷川眞理子 集英社新書ヴィジュアル版 ISBN:4087203557 本文がわずか196ページの新書であるが、とても贅沢な本である。 何よりも、エッセイとして面白い。そのテーマは、旅行であり、歴史であり、そして人物である。しかも、ガラ…

キヨスミウツボ群落の墓碑銘

キヨスミウツボの生活 神戸市押部谷町木見新池での保全のとりくみから 中西收・小林禧樹・黒崎史平 著 兵庫県植物誌研究会 ISBN:4990319702 この本が書かれた経緯が、あとがきに紹介されている。 我々が新池周辺でキヨスミウツボを発見したのは、1987年初夏…