テーブルマウンテンの自然史に関するすばらしい本

上の記事は、William Bondさんと分かれたあと、ホテルのレストランで食事をとりながら書いた。
部屋に戻り、ズボンなどを洗濯し、シャワーをあびてから、Kirstenbosch Botanical Gardenのブックショップで購入した次の本を開いているところ。

Anton Pauw and Steven Johnson:
Table Mountain, A Natural History
Fernwood Press
ISBN:1874950431

まず、写真のクオリティに圧倒される。これまで、動植物の写真集を数多く見たが、これほどまでのクオリティの写真集に出会ったことがない。衝撃的である。写真そのもののクオリティもさることながら、それぞれの写真に、生態的・生物学的な意味がはっきりとあらわれている。
それもそのはず、二人の著者は、新進気鋭の生物学者である。
2番目の著者であるSteven Johnsonは、南アフリカのランと口吻の長いハエの共進化の研究で有名な若手の送粉生物学者である。学会発表のスライドや論文の写真を見て、写真の技術が高い人だとは思っていたが、想像以上である。
Anton Pauw の研究については、さきほど車の中で、William Bondから聞いたばかり。オイルを集めるハナバチとランの関係を調べ、ハナバチの消失がランの個体群動態に影響することを実証したそうだ。指導教官(William Bond当人)が、ハナバチの絶滅が植物の保全上重要だとは考えていなかったので、学位をとるのが遅れたそうだが、最終的には指導教官を納得させる証拠を出したと、指導教官は実に満足そうだった。
ちなみに、Steven JohnsonもWilliam Bondの弟子である。
そのような著者二人による著作なので、写真だけでなく、解説のクオリティも高い。拾い読みしてみたが、知識と愛情がこめられたすばらしい解説である。
生き物が好きな人には、購入を強くお勧めする。
購入すれば、きっとTable Mountainの魅力にとりつかれることだろう。