ハーバード白熱日本史教室

ハーバード大学で日本史の講師をつとめる北川智子さんの著書(新潮文庫)。羽田空港12番ゲート前の有隣堂で搭乗前に購入。表紙を見たときは、サンデル先生にあやかった二番煎じ本かと思ったが、とんでもない誤解だった。この人はすごい。ただものではない。教師としての熱意、スキル、オリジナリティの点で、サンデル先生のはるか上をいく人だと感じた。こんな人がハーバード大学で日本史を教えているとは、いろいろな意味で素敵だ。
これまで私は、しっかりと知識を伝える講義と、好奇心を育てる講義と、講義には2種類あると思っていたが、考え方をあらためる必要がある。しっかりと知識を伝えることと、知的エンターテイメントは、両立できるのだ。「アクティブラーニング」なんて、自分は昔からやってるわい、と冷やかしていたが、この本を読んで猛省。私の「アクティブラーニング」ごときは、北川さんの努力と工夫の前では、茶番にすぎない
「Lady Samurai」のクラスも、「KYOTO」のクラスも、オリジナルなコンセプトがしっかりしていてすばらしい。しかも、「歴史の授業で盆踊り!」「地図を書こう!」「ラジオの次は映画づくり」「中間試験の課題はタイムトラベル」・・・小見出しのタイトルを見るだけでも、面白そう。いや、実際に面白いよ、これは。タイトルだけ見ると一見あざといように思われるかもしれないが、実によく考え、よく練られた授業なのだ。私もぜひ北川さんの講義を受講してみたいよ。
たった数名の受講生しかいなかった日本史の講義を100名をこえる人気講義に変え、ベスト授業賞など数々の評価に輝いた彼女は、「授業評価で高得点をとる秘密は?」と質問された。その答えがすごい。

  • 大きなクラスを成功させる大前提があることに気がつきました。その大前提とは、ごくシンプルです。「準備がすべて」だということです。誰かに物事を教える仕事をうまくこなす秘訣の99パーセントは、準備段階にあると思うのです。

脱帽です。