エアロゾルの定義

飛沫はエアロゾルだとツイートしたら、それは違うというご指摘を受けて、「飛沫はエアロゾル」という強情な記事を書きました、しかし、エアロゾルに関して私の理解が適切でないことが判明したので、記事を全面改訂します。

私は個々のエアロゾル粒子をエアロゾルaerosolsとは言わないと理解していました。エアロゾルは粒子と気体の混合体のことであり、個々の粒子はaerosol particlesだと理解していました。しかし、

エアロゾルペディアの解説

によれば

エアロゾルは、空気中に微小な液体粒子(droplet)や固体粒子(particle)が浮遊している分散系、あるいは浮遊している粒子そのものを意味する。後者のように、微粒子そのものを意味する場合には、エアロゾル粒子(aerosol particles)とよぶこともあるが、通常はわざわざ区別せずに用いることが多い。」

と明記されています。

これが現在専門家が用いている定義とわかりましたので、以後この定義に従います。

なお、ウィキペディア日本語版には

なお俗に、微粒子のことをエアロゾルと呼ぶことがあるが間違いである。

と書かれています。日本語版はときどき間違っているので、いつも英語版を比較参照するようにしていますが、英語版でも

Aerosol is defined as a suspension system of solid or liquid particles in a gas. An aerosol includes both the particles and the suspending gas, which is usually air.

と書かれており、これを読む限り、エアロゾルはシステムであって、個々のparticleはaerosolではないと理解されます。

日本エアロゾル学会のウェブページ でも

気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体をエアロゾル(aerosol)と言います。

と書かれています。そのほか、私の専門に近い分野でエアロゾルについて書かれた論文を読んだ経験の範囲では、個々の粒子をエアロゾルと書いた論文を知りません。そこで、医学分野で個々の粒子をエアロゾルと呼んでいるのは特殊な用法と思っていました。この点は誤解でしたので、訂正します。

あわせて、飛沫と飛沫粒子を区別する用法はやめます。私は、飛沫は飛沫粒子・飛沫核を含む、さまざまな粒子が含まれたエアロゾル、という理解をしていましたが、この用法は混乱を招くことがわかりました。以後、エアロゾルエアロゾル粒子、と同じように、飛沫=飛沫粒子=dropletsという用法を使います。

このように、用語の混乱を避けるように襟をただしたうえで、医学系論文において飛沫とエアロゾルの基準が定まっていないことについて、次の記事で書きます。長くなるので、ひとまずここで記事を区切ります。