2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧

生物多様性はなぜ大切か?

この問いかけに対する私の答えは、簡単である。私が大切だと思うから。文化財や芸術を大切だと思う人がいるように、私は生物多様性が大切だと思う。これからは価値観の多様性を認め合う時代である。生物多様性を大切だと思う人がいる以上、それは大切にされ…

キイチゴ類の浸透交雑

屋久島に来て3回目の朝である。幸い、今日も天気が良く、朝日がまぶしい。 25・26日は、安房林道上部4箇所に、常設トランセクトを設置し、植物の分布調査をした。これで、安房林道の調査は終了。計10箇所でトランセクト調査を実施した。十分とは言えないが、…

生物多様性への群集系統学的アプローチ

昨日のシンポジウムのあとの懇親会では、Mike Donoghueと、community phylogeneticsの重要性で意気投合した。「環境政策論」の書評で紹介したアイデアである。ハッベルの群集の中立モデルの検証にも使えるはずだという考えを述べたら、同意してくれた。 九大…

自然再生事業指針案

・・を日本生態学会が作成したことが、今日の毎日新聞朝刊の2面で報道されている。実は、「案」ではなく、最終文書の原稿が、生態学会第2和文誌「保全生態学研究」にすでに入稿されている。この最終文書では、大阪大会のフォーラムで出された意見や、フォー…

「生物多様性・生態系研究のこれからの戦略」討論

まずは5名のパネラーによる短いコメント。先発は、Michael Donoghue。哺乳類・鳥類の絶滅種の増加のグラフに始まり、植物、両生類と続く。アパラチアのGreat Smoky Mountains国立公園では、All taxa inventory projectが進んでいるそうだ。粘菌などで新種の…

「生物多様性・生態系研究のこれからの戦略」午後の部

午後の最初は、奥田さんによるマレーシア・パソでの持続的利用のための生態系管理の話。森林がアブラヤシ農園などに急速に変えられていく現状では、迅速なアセスメントが必要。そのためには、生態系サービスの価値に関するデータベースの整備と、GISを活…

生物多様性・生態系研究のこれからの戦略

・・に関する国際シンポジウム(乃木坂:学術会議講堂)に参加中。まず、鷲谷さんが、総合科学技術会議のワーキンググループレポート「必然としての生物多様性」の内容について講演。(大学院生の論文原稿をなおす内職をしながら聞いた。鷲谷さん、ごめん)…

環境政策論

ゴーシ舎長の昨日のコメントで、岡敏弘さんに『環境政策論』(1998:岩波書店)を献本していただきながら、書評も書かずに年月を重ねてしまった心の重荷が、さらに重くなった。そこで今日は、この本の紹介を書こう。 岡さんとは、福井県中池見湿地が縁で知り…

出張前の忙中閑なし

明日上京し、23日は、生態系・生物多様性研究国際シンポジウムに出席の予定。24日に東京から鹿児島経由で屋久島入りし、5月8日まで調査である。 したがって、今日は忙しい。どうしても先延ばしにできない用事を片付け、出張前に片付かない仕事には、しかるべ…

Collapse到着

地震の日に、ダイヤモンドの「Collapse」が届いた。ずっしりと重い本である。「銃・病原体・鉄」の原書よりも厚いぞ。綴じ込みの写真ページには、イースター島や、オーストラリアの植生を消失させたアナウサギの群れや、ルワンダで虐殺された人たちのシャレ…

地震の朝

今日は、朝早く、地震に起こされた。大きなタンスのそばで寝ていたので、目を覚ますや、とっさにタンスを押さえてしまった。幸い、タンスを含めて、倒れたものはなかったが、恐怖感を感じるほど十分に強い揺れだった。その後も小刻みに余震が続いた。 ニュー…

生物多様性はなぜ大切か?

・・というタイトルの本が先週末に届いた。総合地球環境研究所(略して、地球研という。地環研と言わない理由はおわかりだろう)が出版する「地球研叢書」の最初の1冊である。所長の日高敏隆さんがじきじきに編集を担当されている。執筆者は、日高さんを含む…

Collapseの目次

leeswijzerさんのブログで、ジャレッド・ダイヤモンド新刊『崩壊』目次、が紹介されている。 問題提起と、文明崩壊を5つの要因から見るという枠組み(A five-point framework)を述べた「プロローグ」のあと、第1部はやはり「Modern Montana」から始まる。…

生物多様性保全ゾーンの春

今日は久しぶりに新キャンパスに出かけた。少人数ゼミ「九大新キャンパスにおける森林と水辺の生物の保全」の受講生5名の現地見学会を兼ねて、環境創造舎主催のイベント「散策、たけのこ、とり放題!」に参加した。 保全ゾーンの森では、すでにヤマザクラの…

Collapse

今日は終日、年度末に堆積した書類・郵便物を片付けた。自然再生事業指針ファイナルバージョンのチェックなど、急ぎの仕事のためにも、資料が必要なのだが、7つの山に堆積した「書類・郵便物」が地すべりを起こし、不整合だらけで、必要なものがなかなか見…

少人数ゼミ・スタート

今年の少人数ゼミ「九大新キャンパスにおける森林と水辺の生物の保全」がスタートした。今年は受講生が少なく、今日の受講者は6名、そのうち受講登録をしたのは4名。今日、他のゼミに出た学生が、来週何人か移ってくるかもしれないが、例年よりは少ない受講…

福岡国税局長からの招待状

・・・を頂いたので、KKRホテル博多「レグルス」の間に足を運び、「新酒利酒会」なるものに、顔を出してきた。 「忙しい、忙しいと言っておきながら、なんだ」・・・「風邪を引いて薬を飲んでたんじゃなかったのか」・・・「研究計画は見てくれたのか」・・…

研究テーマの決め方

今日は、新ポスドク・新D1・新M1・新卒研生を迎えて、新年度最初の研究室セミナーを行った。夜は、新人歓迎会。私は早めに切り上げて帰宅したが、研究室ではまだ盛り上がっていることだろう。 ここ数年、研究室の「人口」は減り気味だったが、今年はM1が6人…

研究者として成功する条件

先日のブログでとりあげた「柳田充弘の休憩時間」で、柳田さんが、研究者として成功する条件について論じておられる。何回かのブログで書かれたことの中で、私も共感できるのは、次の3点。 (1)「研究は好きでやって、しぶとくやって、あきらめないこと」…

3ヶ月記念日は雲隠れ

1月8日にこのブログを始めてから、3ヶ月が経った。現時点で67872件の訪問をいただいた。毎月2万件以上も訪問していただいたことになる。訪問数が多いのは、嬉しいことだが、何しろ忙しいので、あまり「読者」サービスはできない。時間の許す範囲で、日々…

レブンアツモリソウの保全研究

昨日は、森林総合研究所北海道支所で開かれた「レブンアツモリソウをモデルとした特定国内野生希少動植物種の保全に関する研究」研究推進評価会議に出席した。私は評価委員という立場で、研究実施計画の説明を聞いた。とても意義深い研究計画だと思った。 第…

品川で購入した本

今日は、日本遺伝学会評議員会出席のため、東京へ日帰り出張。行きに、JR品川駅のBook Gardenで、購入した本をメモしておく。 リービ英雄 『英語で読む万葉集』 岩波新書 ISBN4-00-430920-4 知る人ぞ知る、万葉集名訳者による、英訳万葉集に関するエッセイ。…

自然は元に戻せるか?

「元に戻す」という「元」とはどういう状態でしょう? という「けいすけ」さんが提起された問題については、本の解説原稿で書いたことがある。関心がある方が少なくない問題だと思うので、私の見解を引用しておこう。 一度失われた自然は元に戻せない−この理…

最近のNature記事

久々に睡眠不足を解消したけど、体の節々が痛い。花粉症だと思っていたが、風邪も引いていたのかもしれない。幸い、週末だ。今日・明日は、のんびりしよう。 Natureの最新号に、「性の進化」に関する論文が出ていた。 Sex increases the efficacy of natural…

不機嫌なジーン最終回に不機嫌な人へ

ユフィーさんからトラックバックがあった。「将来研究者になりたい!という女性が減ってしまうのではないか」という意見に大賛成だが、「ジーンと南原教授の関係は、夫婦よりも互いを理解しているある意味もっと理想的なものなのか?」「私としては永遠のテ…

君に読む物語

年度末業務とのバトルと、高知→屋久島→大阪の行脚の旅を終えて、さすがに、疲れた。夕方ふと、今日は1日であることに気づいた。1000円で映画が見れる「映画の日」だ。珍しく、明るいうちに大学を出て、「中洲大洋」に向かった。見たのは、ちと恥ずかしいが…