2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

レブンアツモリソウがとりもつ屋久島関係者との縁

ところで、今回の研究推進評価会議に出席されていた林野庁研究・保全課のK課長補佐は、屋久島で猟銃の誤射によって林野庁職員が命を落とすという痛ましい事故があった当時、屋久島森林管理署長をされていたそうだ。貴重な話を伺う機会を得て、屋久島との関わ…

レブンアツモリソウの共生菌と送粉昆虫

レブンアツモリソウ保全の研究プロジェクトでは、レブンアツモリソウの共生菌に関しても、確実に研究が進んでいる。このテーマに関しては、すでに3編の論文が公表されており、たとえば次の論文では、単離された菌の接種によって実際に種子の発芽が促進される…

着実に進むレブンアツモリソウ保全研究

昨日は、森林総合研究所北海道支所で開催された、「レブンアツモリソウをモデルとした特定国内野生希少動植物種の保全に関する研究」第3回研究評価推進会議に出席した。 このブログで検索をかけてみると、過去に3回、このプロジェクトについて書いている。私…

テラビシアにかける橋

誰しも生きていれば、大切なものを失うことがある。それは深く愛した人との別れかもしれないし、親友との死別かもしれない。しかし人はその悲しみをのりこえたとき、もっと大きな心を手に入れることができる。この普遍的メッセージをテーマに作られた、少年…

シンドラーのリスト

昨日はいくつかの急ぎの仕事を片付けたが、アブダビ以来の疲れがとれていないので、夜は早めに帰宅した。そして、BS2で「シンドラーのリスト」を見た。疲れているときに見る映画としてはかなりしんどい内容だが、希望を感じさせてくれる映画でもある。 私は…

アユ放流は効果があるか?

2月21日には、河川生態学学術研究会北川研究グループ、国土交通省九州地方整備局、宮崎県主催による「河川生態学学術研究会北川研究グループ発表会」で、「北川河川改修事業地域における 植物種と植生の保全・復元・管理」と題して20分間の報告をした。昨年…

キスゲ属の花に含まれる睡眠物質

キスゲ属の花には睡眠を誘導したり、忘却を促進したりする物質があるらしいことが経験的には知られていた。万葉集では「ワスレグサ」という名前で歌われており、恋の苦しみを忘れるために花を下紐につけるならわしがあったことがうかがえる。中国でもこの花…

海外出張後の週末

アブダビから戻って2日間が過ぎた。海外出張から戻る日は、金曜日が良いと痛感。土日も出勤はしたが、朝おそめの時間まで、ゆっくりと休むことができた。おかげで寝不足だけは解消した。ただし、4日間の会議の後遺症は寝不足だけではない。まず、肩こり。…

IUCN-SSC(種の保全委員会)全日程終了

議論、議論、議論、・・・・英語、英語、英語、・・・の4日間が終了。4日目になるとようやく英語に慣れて、かなり聞き取れるようになってきたが、話すほうにはまださほど慣れていない。日常的に英語を使う環境にいないと、このような国際会議で活躍するのは…

日本から南アフリカへ:植物レッドリストのための市民調査員ネットワーク

「William Bond博士が日本のやり方にヒントを得て、市民によるモニタリングという方法を採用したのではないだろうか」(下記)と予想したが、実際にそのとおりであることがわかった。南アフリカ植物専門家グループ長のDomitilla Raimondoさんが、「William B…

アセスメントと保全のアクション:IUCNの実践事例

午後のセッションでは、レッドリストのためのアセスメントの実例報告と、保全タスクフォースによるいくつかの哺乳類の保全アクションの実例報告を聞いた。 南アフリカでは、市民をトレーニングして、全種を対象にレッドリストのためのアセスメントを実施して…

IUCN-SSC(国際自然保護連盟−種の保存委員会)の構造改革

昼食を済ませたところ。会議再開まであと15分ほどである。 午前中は、SSCの専門家グループを保全グループとアセスメントグループに分けるという「構造改革」案が提案されたので、議論は熱を帯びた。 趣旨は、レッドリストの客観性・透明性を高める一方で、保…

アブダビのヒルトンホテルに朝が来て・・・

外は快晴。鳥のさえずりだけが聞こえる静寂な環境で朝を迎えた。 昨夜はドバイ国際空港には9時40分ころに着いたが、そこからアブダビのアル・アインまで車で2時間くらいかかった。ドバイ国際空港の周辺は、摩天楼が立ち並んでいた。最初は夜景を楽しんでいた…

香港からドバイへ

香港空港について、河川生態に関する発表会の発表要旨を書き、事務局に送信したところ。相変わらず、綱渡りである。 香港空港では、無料の無線LANサービスが使えた。日本の空港でも、このサービスを実施してほしいものだ。 ドバイ行きの便の搭乗がはじまった…

オーガニック波乱軍によるストアー・ウォーズ

有機野菜の宣伝のために作られたストアー・ウォーズ。スター・ウォーズのパロディ版である。英国滞在中のサステナ・ラボさんのブログ「有機を取り戻そう」で知った。笑える。採点に疲れた頭には、もってこいだ。内容にはちょっとどうかと思う部分もあるが、…

集団生物学採点終了

1年生向けの全学共通科目「集団生物学」の採点を終了し、成績を登録した。毎週レポートを出してもらったので、採点にかなり時間がかかってしまった。 授業の後半では、遅刻者がかなり目立つようになった。20分も遅刻しながら、教室にいる友人に手をふって入…

ネアンデルタール人のゲノム研究

roadman2005さんから、「ネアンデルタール人ゲノム配列に混入したヒト配列に関する記事」の連絡をいただいた。 2006年11月にNatureとScienceにあいついで発表されたネアンデルタール人ゲノム配列の論文に関して再検討した論文(Inconsistencies in Neanderth…

中国製ギョーザ中毒事件(4)

ついに厚生労働省が「農薬とは考えにくい」(事件性がある)と認め、千葉、兵庫県警は殺人未遂容疑での共同捜査本部を設置した。これまで慎重に判断を避けてきたが、ここに至っては、「食品テロ」という疑いが濃厚となったと言って良いだろう。まずは一連の…

ヒトの脳はネアンデルタールとの交雑を通じて進化した!?

集団生物学の授業のためにヒトの進化に関する最新の研究をレビューした。その過程で、ネアンデルタールとヒトが交雑したことを支持する新しい証拠が発表されていることを知った。ネアンデルタールのDNA配列から、交雑はなかったという結論が出たと思っていた…

中国製ギョーザ中毒事件(3)

事件の核心に迫るデータが出た。 中国製ギョーザ、新たに6袋の外側から殺虫剤検出(日経) これらの6袋は昨年末に「表面がべたついている」との理由で輸入元のジェイティフーズ大阪支店に返品された後、輸入仲介商社で保管中だったもの。昨年10月1日の製造…

中国製ギョーザ中毒事件続報

今度は残留農薬の可能性を示唆するデータが出た。 千葉で回収の中国製ギョーザ、2袋からメタミドホス 2袋のギョーザから、それぞれ0・02ppmと0・04ppmのメタミドホスが検出された。今回の商品の製造日は昨年9月8日。0・04ppmが検出さ…

ヒトにおける進化の加速

最近読んだ論文の中で、もっとも興味深かったものをあげておこう。 Hawks et al. (2007) Recent acceleration of human adaptive evolution. PNAS 104: 20753-20758. ヒト遺伝子の適応進化に関する論文は最近いくつも出ているが、そのなかでこの論文は、以下…

中国製ギョーザ中毒事件続報

中国製ギョーザに含まれていたメタミドホスによる中毒事件については、いたずらに不安を煽るのではなく、正確な情報にもとづいて冷静に判断していくことが大事だろう。現時点までに得られた情報では、事件の原因に関する確かな判断はできない。しかしいくつ…