2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

著作権とは

ネット上でオープンにアクセスできる情報が増えている今日、科学者にも、市民にも、著作権についての正確な理解が求められている。しかし、著作権の内容については、意外なほど知られていない。 たとえば、著作権には人格権と財産権があるが、この区別を知ら…

DIVERSITAS第一回国際会議基調講演の資料

メキシコ・オアハカシティで開催されたDIVERSITAS第一回国際会議でのLubchenco講演については11月11日のブログで、Jackson講演については11月15日のブログで紹介した。 これらを含む基調講演で使われたパワーポイントのスライドが、post conference informat…

ESS理論と血縁淘汰理論の現代的意義

高校2年生の麦秋さんから、次のような質問をいただいた。 「メイナードスミスのゲーム理論」やハミルトンの学説は今の生物学ではどのような評価をされているのでしょうか。今でも定説なのでしょうか。もし反論などがあるのであればよろしければ教えて頂けま…

石川統さんを偲ぶ

昨日は、早朝の便で上京し、石川統さんの葬儀に出た。 石川さんの穏やかな表情を、額縁の写真で見るのは、つらかった。葬儀という儀式は、死という現実と向き合い、認めたくない事実を確認するためにあるのだと思った。 私が駒場に着任したとき、石川さんは…

 石川 統 先生

悲しい知らせはいつも突然届く。 石川統先生が、亡くなられた。あまりに突然の訃報に、言葉もない。 日本進化学会会長当時から、抗がん剤治療をされていたのだそうだ。それでも最近まで元気にされていた。放送大学で自ら実験するのを楽しみにされていた。 い…

ブログを公開する意味

メキシコから帰国して翌日に「生態学I」の授業をした。その次の回の授業を今朝やったということは、1週間がたったわけだ。しかし、昨夜も午前2時すぎに目がさめた。まだ時差ぼけが完治しない。今回は、長い。 授業後は講演の準備。25日に農学部助教授講師会…

根拠なく疑う態度と論理的に疑う態度の違い

MsYさま。昨日のブログに対するコメントをありがとうございました。 「ドグマ、学説、思い込みに常に疑問を投げかける精神」を教えることは、科学者を育てる教育においてのみならず、教養レベルの科学教育にも必要なことです。だからこそ、私はコラーゲンを…

コラーゲンと生物学教育

16日のブログへのコメントで、MsY さんから、『私は、「飲むコラーゲンはインチキ」「そんなことがあるわけがない」と科学の授業の場で、学生のための教養として教えることは「非科学的」であると思います。科学の授業であるなら、その根拠を追求するという…

絶滅の生物学

先ほどから、3月中旬に開催する岡崎生物学コンファレンス「絶滅の生物学」関連のメールの処理。メキシコから帰国後、もっとも多くの時間をこの仕事に割いている。先日来の「海」の話題に登場したJeremy Jacksonも、Ransom Myersも、参加する。基礎分野では、…

祝杯

昨夜は、1月から総合研究大学院大学に移られるHさん宅で、祝杯をあげた。Hさんはふくろうグッズが好きなので、メキシコから、ふくろうの彫り物をお土産兼お祝いに買ってきた。オアハカ特産の黒い陶器の彫り物である。Hさんが、研究に時間が割けるポストに移…

人間ドック終了

人間ドック一泊コースの検査が終了し、海の中道ホテルで夕食を済ませたところ。このホテルのレストラン「八点鐘」のフランス風料理は、絶品だ。今日は、赤カブのスープとタイのソテーがとてもおしかった。毎年このホテルを利用しているが、同じメニューに出…

アミノ酸3個の「コラーゲン」

明日から人間ドック。大腸内視鏡コースなので、今朝から、おかゆ+下剤の生活。時差ぼけで眠いうえに、おなかがすいて、さすがに作業効率が落ちてきた。 来週月曜に研究報告を控えた修士1年生が、レジメをもって相談に来たが、まともに応答できない。頭がズ…

Brave New Ocean

指導的な海洋生態学者の中で、Jane Lubchenco とJeremy Jacksonは、実に対照的な二人である。Janeは、落ち着きを感じさせる女性研究者であり、アメリカ生態学会の会長をはじめとして、会長職を歴任している人物である。おそらく対立をできるだけ避けて、チー…

海はどこまで壊れたか?

DIVERSITAS(生物多様性研究ネットワーク)第一回国際会議でのJane Lubchenco講演の内容に関して、早速松田さんからコメントがあった。 私のブログでは、科学を市民に向かって開かれた知識に変えていこうという彼女の姿勢に共感し、彼女の主張をできるだけ正…

生物多様性変動の観測システム

地球環境の変化を継続的に観測するシステムは、物理・化学環境に関しては、かなり整備されている。しかし、生物多様性の変化を統一したプロトコルで観測するシステムは、いまだ整備されていない。九大新キャンパスや屋久島で実施している生物多様性モニタリ…

科学と社会:生物多様性科学をめぐる理解の溝

DIVERSITAS(生物多様性研究ネットワーク)第一回国際会議が開幕した。オレゴン州立大学のJane Lubchencoさんによる基調講演「科学と社会:生物多様性科学の必要性と有効性をめぐる理解の溝」は、初日を飾るにふさわしいすばらしい講演だった。 講演は、「溝…

生物多様性の国メキシコ

3日間のフィールドワークを終えて、DIVERSITAS(生物多様性国際研究機構)第一回国際会議に突入。今夜は、歓迎会(WELCOME PARTY)に出た。 思えば、DIVERSITAS第一回国際会議をこの地メキシコで開催したのは、もっともなことだと思う。メキシコは、熱帯雨林…

雲無林あらため雲霧林

4時間で目が覚めて、眠れないのでウェブをチェックしたら、博学のleswijzerさんから、「どー考えても〈雲霧林〉ではない」とのコメントが。 うう、私の理解が間違っていたのかと思い、あわてて、cloud forestで検索をかけてみた。 UNEPのサイトによると、clo…

雲無林雲霧林

メキシコと言えば、サボテンと砂漠の国という印象を持っている人が多いだろう。はじめてメコシコを訪れるまで、私もそういう印象を持っていた。 しかし、メキシコ高地には、頻繁に霧がかかり、鬱蒼とした森林に覆われている場所が少なくない。とくに、カリブ…

ガソリンを飲む

今日は、ガソリンを飲んでしまった。 メキシコの奥山を調査するときには、小さな村でガソリンを分けてもらうことがしばしばある。今日も、山の中でガソリンを入れなければ、オアハカシティまでたどりつけない事態となり、小さな村で給油した。 写真はそのと…

時差ぼけ

今回は、ジェット・ラグがひどくて、3時間寝て目がさめてからは、眠れない。メールをチェックして、9件返事を書いたら、もう4時すぎだ。 石田ゆりこさんって、もののけ姫の声優をやった人だった。宮崎監督の目にとまったキャリアがあるとは、ベテランじゃな…

2年ぶりのメキシコ

昨夜、無事Oaxaca(オアハカと読む)に到着した。2年ぶりのメキシコである。 メキシコシティからオアハカシティ行きの国内線機内で、旧知のMike Donoghueと一緒になった。DIVERSITASの科学委員の一人である。フィールドワークをするために、DIVERSITASの会議…

ダラス空港

ダラスは、私が始めて渡米したとき、最初に泊まった場所である。ロスでニューオリンズ行きの予定の便に乗り継げず、予定を変更してダラスに泊まった。夜遅く空港に着き、自分でホテルに電話して予約をとり、タクシーで暗闇の原野を抜けて、ホテルにたどりつ…

四日間の奇蹟

「でも私は間に合った。やっと気づけたのよ。自分の価値に。」 最後の別れを前に、真理子が敬輔に語った科白が記憶に残った。 自分は何のために生きているのだろう。大学生のころ、そんな疑問について真剣に考えたことがあった。そんな若かりし日の、未熟だ…

国際携帯電話

なるものを、借りてみた。国際ローミングサービスによる「国内通話」ができる。これからメキシコに発つが、DIVERSITASの第一回国際会議が開催されるOaxaca(オアハカ、と読む)でも、使えるそうだ。番号は・・・内緒。 自宅にだけは知らせたので、スーパー・…

フィールドサーバー・ネットワークによる生物多様性の自動モニタリング計画

3月1日のブログ:「ミニ地球」と“桃源郷”(id:yahara:20050301)で書いた構想を、いよいよ本格始動させようと思う。 ここしばらくは、「生物多様性三昧」の暮らしが続いていたので、だんだんモチベーションが高まってきた。ちょうどそのタイミングで、日米…

地球変動・生物多様性に関する日米セミナー3日目

「生物多様性」ワーキンググループの報告が終わったところ。 US側の中心人物の一人から、日米ともに緯度の勾配があり、多様な森林があるので、森林生態系に関する共同比較研究がとても有望だが、すでに発表されているデータについてのメタアナリシスの必要性…

地球変動・生物多様性に関する日米セミナー2日目を終えて

文部科学省とNSFが共催したGlobal Changeに関する第11回日米セミナー “Biodoversity, Ecosystem Function, and Dynamic Human-Nature Interactions” は、実質的に昨日で終了した。今日は、4つのワーキンググループの議長から、各15分の報告がある。そのあと…

好奇心がいらない科学

今日は、文部科学省・環境省・NSF・USGSという3つの研究費助成機関による、環境科学・生態学分野への助成のしくみの説明があった。文部科学省による科学研究費補助金・科学技術振興調整費・CRESTの説明で、科学研究費補助金だけが、curiosity-driven resear…