2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

微生物が雲を作る?

雲に興味が湧いたので、今日は雲と生物の関係について書いてみる。海洋微生物が、長距離分散のための適応戦略として、雲を作るのだという仮説がある。この仮説を知ったのは、ケンブリッジ大学に滞在中のHさんを訪ねたときのことだ。この仮説の提唱者が、あの…

ハリケーンと温暖化(3):雲の動きの難しさ

前回のブログの内容に関して、気象学の研究者の方からメールをいただいた。ハリケーンの規模拡大と温暖化の関係を考えるうえで最大の問題は、「モデルの中での雲の表現の不確かさ」にあるそうだ。ハリケーンが渦をまき、発達するためにはエネルギーが要る。…

ハリケーンと温暖化(2):より妥当なモデルをどう選ぶのか?

昨日引用した元村さんの発言に端を発して、理系白書ブログでコメントが続いている。ハリケーンと温暖化の関係がどの程度わかっているかについては、私も関心がある。私は気象学の専門家ではないが、非常に複雑な系を扱っている点では、気象学と生態学は兄弟…

ハリケーンと温暖化:不確実性にどう向き合うか?

理系白書ブログの元村さん曰く。 7月にNOAAが今シーズンのハリケーン予測をしていたけれど、「例年より上陸数が多く、威力も増す」との内容だった。今のところ、うれしくないけど大当たりというところか。 地球温暖化と結びつける人がいるけれど、どうなの…

遺伝子組み換え作物開放系研究への道(続)

GM

富山から東京に向かう車内で書いている。昨夜、うっかり消してしまった原稿のうち、シンポの紹介にあたる部分をもういちど書いておこう。 シンポの講演者は3人にしぼり、総合討論の時間を45分設けた。 私と芝池さんの共同講演(話をしたのは私)では、複雑に…

遺伝子組み換え作物の開放系利用への道

GM

日本植物学会富山大会シンポジウム「遺伝子組み換え植物の開放系研究と開放系利用:科学者は合意形成に向けてどう対処すべきか?」について、かなり長めの報告を書いた。書いている間に、モバイルカードによる接続が切れたので、もういちどつないだら、ウィン…

ピーター・ジェニングスからのメッセージ

テレビをつけると、BS1で「ピーター・ジェニングスからのメッセージ」という番組をやっていて、一部を見た。「彼のあまりにも早すぎる死は・・・」というアナウンスにびっくり。不覚にも、彼が8月に他界していたことを知らなかった。肺がんのために、5月か…

シカと人と森の関係をめぐるシンポジウム(その2)

次は、私が代表者をつとめる環境省環境技術開発等推進費プロジェクトの報告会。調査地である屋久島で開催する。島の人たちと研究成果を共有し、ヤクシカの増加という問題にどう対処するか、一緒に考えようという集まりである。 屋久島生態系の保全−希少植物…

シカと人と森の関係をめぐるシンポジウム(その1)

もう明日になってしまったが、明日は富山(植物学会大会シンポジウム:遺伝子組み換え植物の開放系研究と開放系利用―科学者は合意形成に向けてどう対処すべきか?→プログラムと講演要旨)に出かけるので、今夜のうちにアナウンスをしておこう。 10月前半に、…

花の色と匂いの生産を制御する転写因子

今日は終日、キスゲプロジェクトの科研費申請書の研究計画を煮詰めるために、ダウンロードしたままきちんと読まずにいた関連の論文を読んでいる。 キスゲプロジェクトでは、送粉昆虫の意思決定に関する実験と並行して、花形質に関与しているQTLをマッピン…

ブログと選挙

Ostromさんから、「人間が織り成す社会における選挙制度において、中間にある最適解を得るためには、個人に対する「情報」と財の供給に、規制・制限があってはならないとも思います。」というコメントがあった。財についてはすぐに判断がつかないが、「情報…

キスゲプロジェクトがめざすもの

写真の左側は、ハマカンゾウ、右側は、ユウスゲ(キスゲ)。いずれも、ユウスゲ属の植物で、ハマカンゾウは昼咲き、ユウスゲは夜咲きである。これら2種を交配して雑種を作り、さらに雑種どうしを交配して、雑種第二世代の種子をとった。いま、その種子から育…

自民圧勝への評価再論

9月12日[徒然]自民圧勝はフリーハンドを与えすぎか?、に対して、Ostromさんから何度かコメントをいただいた。今日とどいたコメントには、次のように書かれていた。 大学教授という社会的立場にあるY先生に言動は、民間人のそれと違い、社会的に重要視される…

日本植物学会遺伝子組み換えシンポジウム講演の構成

GM

共同講演者との打ち合わせの結果、次のような構成で話をすることにした。 (1)要旨にあげた3つのポイント 科学的命題と価値的命題を区別すること リスクという考え方 人間の心理的傾向の生物学的背景 (2)リスク評価と合意形成 開放系利用のリスク評価…

日本植物学会遺伝子組み換えシンポジウムの準備

GM

昨日から上京している。昨日の午後は、環境省の植物レッドデータブック見直しに関する検討会に出席。 今日は、九大東京オフィスで、9月21日に開催する日本植物学会富山大会シンポジウムの打ち合わせである。 シンポジウムのタイトルは、「遺伝子組み換え植物…

自民圧勝はフリーハンドを与えすぎか?

昨日のブログに対して、Dr. Jasonさんから、「自民+公明で,2/3とは,フリーハンドを与えすぎなのでは?」というコメントがあった。同様な論調が、新聞にも書かれているが、私はそうは思わない。 私は、どうせ自民が勝つのだから、できるだけたくさん議席を…

総長との懇談

今日は、生協理事長として、梶山総長にお目にかかり、30分間の懇談をした。今回で、3回目である。つまり、私の理事長づとめは、3期目に入ったことになる。 今回は、専務の発案で、3人の学生代表に同席してもらった。このアイデアは、とても良かった。 一人は…

総選挙と『国家の罠』

野外実習のまとめが昨日で終わり、今日は山積した急ぎの仕事に対応している。 1日が過ぎるのはあっという間で、もう夜の8時をまわった。世間では、総選挙の投票がしめきられたころだ。 今回の選挙については、解散の時点で、自民圧勝と読んだ。当時、新聞は…

ムヨウラン移植

今日は、午前中は、野外実習のまとめに対応。とは言っても、実習室にいたのは最初だけで、データ入力や追加の測定作業が始まってからは、研究室で山積した仕事に対応した。 午後は、学生への対応をTAにまかせて、新キャンパスに出かけ、ムヨウランの移植に立…

葉の最適サイズなど

えびの実習から大学に戻った。高速道路が宮崎・田野間で土砂崩れのため通行止めになり、学生たちが利用する予定の高速バスが昨日は運休した。今日は、一般道をバイパスして、宮崎→福岡間の高速バスの運転が再開され、学生たちの帰路も確保できた。朝は、3時…

ミズナラとネジキの葉のサイズ

その後もういちど停電したが、すぐに復旧し、大過なく一日が過ぎた。 植物班は、ネジキでは林内の葉より林縁の葉が大型になるのに対して、ミズナラでは逆に小型になるという現象が明らかになり、なぜ逆の傾向が生じるのかを考えながら、当年枝長・当年枝径を…

嵐の中で野外実習

例年えびの高原で実施している理学部生物学科の野外実習では、最初の2日間に共通テーマでの実習(バッタの個体数推定と植生調査)を行ったあと、次の3日間はグループに分かれてテーマ別の実習を行っている。 今年は、テーマ別実習の3日間が、台風のために雨…

野外実習地に台風の影響

野外実習3日目から、台風の影響を受けて、雨が降っている。台風が予報どおりの進路を進めば、昨年に続いて、台風の直撃を受けそうである。 バイクで参加している学生もいるので、この状態で実習を中止して、福岡に戻すことはかえって危険である。学生は、昨…

屋久島のフウチョウゴケ

昨日のトラックバックで、フウチョウゴケが68年ぶりに屋久島で再発見されたことが、毎日新聞に報道されたことを知った。記事の最後には、こう書かれている。 九州大の矢原徹一教授が昨年、同島でヤクシカの食害調査を始める際、地元住民がコケ類の調査を要望…

バッタ類の個体数推定

野外実習初日は、こしき岳旧火口の草原でバッタ類を採集し、除去法による個体数推定のためのデータをとった。コードラート内で3分間の採集を繰り返し、毎回の捕獲個体数を記録する。九大に戻ってから、このデータをもとに、総個体数Nを推定する。 毎回の(3…

ノートPC復旧in野外実習

今日から8日まで、霧島えびの高原で野外実習。 ウィーンからの帰国便の機内でハードディスクが昇天したノートPCは、しばらく前に修理が終わったのだが、今日までセットアップする余裕がなかった。 えびの高原についてから、まずはcdma-oneのモデムをセット…