2006-01-01から1年間の記事一覧

ケプラーの衝撃とメタンミステリー

あとしばらくで、今年も終わり。1年間の反省を書けばきりがない。しかし、反省とは、しばしば自己弁護や自己満足に終わるものだ。だから、あれこれと反省を書くことはやめよう。 今年最後のブログでは、今年私がいちばんびっくりした科学的発見を取り上げよ…

福岡空港のレストランを禁煙に

東京出張から戻った。福岡空港第3ターミナルに7時ころに到着した。毎日6時に夕食をとる習慣があるのだが、今日は1時間遅れになってしまった。第3ターミナル側のレストラン「Wing」が混んでいたので、第1ターミナル側の「Café de Tablie」まで歩いた。テーブ…

若手研究者は社会常識と創造性に欠ける?

文部科学省のウェブサイトに、「我が国の研究活動の実態に関する調査報告」が掲載されている。 1,024名(民間企業402名、大学等364名、公的研究機関等175名、その他83名)に対するアンケート調査の結果である。 この報告によれば、若手研究者は「専門分野の…

合衆国東部で日本のメギやツルウメモドキが大繁殖

ニューイングランドの外来植物を研究しているJohn Silanderさんとつくばで外来植物のシンポジウムに出た。そのあと、Silanderさんに九大に来ていただいて、生態研・天草臨海実験所・数理研でセミナーをしていただいた。3回もセミナーを頼んだので、御礼に阿…

フミン酸の構造

フミン酸が分解されにくいことは知っていたが、構造についてはよく知らなかったので調べてみた。ベンゼン環がつながっているのだろうとは思っていたが、まさかここまで複雑とは・・・・ → フミン酸の構造モデル。 植物がつくるポリフェノール類よりも複雑だ…

土はなぜ茶色か?

京都で開かれた日本生態学会全国常任委員会に出て、福岡に戻る新幹線車中である。会議後の夕食の席で、これからは土壌生態系が面白いという話をしたら、賛同者が多くて、議論がはずんだ。そこで、今夜は土の話題を書いておこう。 土壌中には、膨大な量の炭素…

武士の一分

明らかに、体が休養を求めているので、早退して映画を観てきた。もっとも、勤務時間が終わってから研究室を出たので、社会通念上は「早退」ではない。 昨夜も疲れていて、ついシリアスなブログを書いてしまった。昔も今も、学生には大きなポテンシャルがある…

大学生のコミュニケーション能力

昨日の午後と今日の午前中は、深津武馬さんの集中講義を聞いた(昨日は、学内ヒアリングのため一コマ分欠席したが)。今日の夕方は、六本松キャンパスで九大生協の臨時総代会に出た。まったく違う経験を通じて、大学生のコミュニケーション能力の問題を考え…

ドーハを舞った日本の龍

カタール国のドーハで、アジア競技大会が開幕した。出張先で、その開会式を見た。少しだけのつもりだったが、なかなか寝付けず、入場行進が始まるまで見てしまった。 「ドーハの悲劇」のおかげで、首都の名前だけは知名度が高まった。しかし、カタール国と言…

ネコ好きのコーキシンをそそられる発見

屋久島から戻り、屋久島などをフィールドとする環境省プロジェクトの延長申請書(明日しめきり!)をせっせと書いている。屋久島で参加した「交流会」の議論は大変有意義だったので、それについても書きたいが、いまは余裕がない。 気分転換にちょっと思い当…

瀬をはやみ

広告物語、サンプルコミック「瀬をはやみ」を見た。 https://www.sodateyou.net/kuchicomic/manga01/seo.php?c=0 このアイデアには、感心した。 「瀬を」と「seo」をかけるのは、次元が低いとは思うが、その弱みを補ってあまりあるアイデアだ。 さて、寝よう…

公式サイト復旧

研究室のサーバーが何者かの攻撃によりダウンして以後、私の公式サイトにアクセスできない状態が続いていた。今日、ようやく、生物学科のサーバーに移植する余裕ができて、移植作業が完了した。 ただし、「生物多様性研究コンソーシアム」のサイトだけはまだ…

野生化したグッピーの性的二型

個体群生態学会で、グッピーの性的二型に関する狩野さんのお話を伺った。オスの長い尾には、体を大きく見せてメスを騙す効果があるようだ。その話自体も面白かったが、何よりも、沖縄各地の河川や用水路に、野生化したグッピーが普通に見られ、流水環境に応…

生態系研究・ナチュラルヒストリー・還元主義

久しぶりの更新である。 この一週間、新センターを作るために必要な拠点形成調書の準備に追われた。今日5時の締め切りまでに、研究戦略課に調書を送り、ほっと一息ついている。 「拠点形成調書」準備にあたっては、九大の生態学・フィールド科学研究者の特色…

九大生協書評サイト誕生

九大生協で、書評サイトを開設したいとかねてから切望していた。その願いがようやくかない、11月1日に開設にこぎつけた。名づけて、「なるほどQ」。 ちょうど、塚谷くんから次の本が届いた。 変わる植物学 広がる植物学 モデル植物の誕生 東京大学出版会 ISB…

透明人間

今日は、屋久島に戻って調査を続けるはずだった。しかし、東京から福岡に戻り、急ぎの仕事に対応中。新しいアイデアに関連する書類の準備なので、生産的な仕事ではある。 演習林のKさんから書類がメールで届く。電話をかけて御礼を言い、樹木の進化と森林生…

屋久島研究講座

屋久島環境文化村センターが開催している屋久島研究講座に組み入れていただいて、屋久島プロジェクトの第3回現地報告会を昨日開催した。題して、「ヤクシカと屋久島の植物の過去・現在・未来」。 昨年、今春に続き3回目なので、人数が減るのではないかと心…

bioGENESIS科学委員会

2日間の討議を通じて、生物多様性の進化の研究に関する今後の焦点(Focus)、課題(Task)、研究対象(Research objectives)を選定した。さらに、課題ごとに、アクションプランを作成した。これをもとに、今年のクリスマスまでに、プロジェクトの提案文書が…

エルビス・トトロ・ソーカル

DIVERSITASの新しいコアプロジェクト”bioGENESIS”の科学委員会初日を終え、参加者一同で「ちゃんこ御島」に出かけて夕食をとった。「ちゃんこ御島」は、雰囲気も料理もマスターもトイレも好評で、みなさんに満足していただけたようだ。 夕食の席では、Michae…

由布岳だより

今日は、明日からのDIVERSITASの会議に参加する5名のゲストと、由布岳に登った。 登山口のススキ草原では、リンドウやヤマラッキョウが点々と咲いていた。防火帯について英語でながながと説明したあと、fire breakと言えば済むことを知った。なるほど、fire …

北川の河川植生に関する共同研究者募集

今日は、河川生態学術研究会北川グループの研究会出席のため、延岡に来ている。研究会・懇親会が終わり、ホテルの部屋の戻ったところ。 昨夜10時すぎから研究発表の準備をはじめ、終わったのは午前2時ころ。「昨夜」は3時間半しか寝ていない。 小倉経由で延…

科研費申請と気合

科研費2件の電子申請を済ませ、地下鉄終電にかけこんだ。9月中旬から準備を始め、しめきり日まで推敲を重ねた。基盤研究(B)の「一般」と「海外学術調査」に重複申請した。いずれも、研究計画はよく練られているし、準備もしっかりできている。気合も十分…

人類700万年を心理学する

科研費執筆に追われる深夜に、怪しげなメールが届いた。差出人は、キクマル父。サブジェクト名は、 お願い(キクマル父)。 本文中には、ウェブサイトへのリンク。 よくこれで、[spam]でなく、[work] に分類されたなぁ。わがスパムフィルターは、賢いという…

外来植物公開セミナー

科学技術振興調整費による外来植物プロジェクトの公開セミナーにコメンターとして出席し、セミナー後の飲み会に出たあと、帰宅途上の地下鉄車中で書いている。長時間つきあう予定では無かったのだが、議論が面白くて、つい長居をしてしまった。もう11時をま…

ナガバノウナギツカミ

宮崎県北川町の植物調査から戻り、DIVERSITAS国際会議招待者からのメールに急いで対応したところ。 宮崎県北川町では、大規模河川工事や、土地整備事業などを経て、植生や植物相が大きく変化している。その変化を毎年モニタリングしている。 北川町家田や川…

種生物学シンポジウム

第38回種生物学シンポジウムの案内がようやく届いた。今年も興味を惹かれるテーマであり、ぜひ参加したいのだが、学振の用事や先約の会議のために、出席できない。残念!せめて、宣伝をして、シンポの成功に協力しよう。以下は「マイペースおくやま」さんの…

スゲ属のスゲー系統樹

「やばいこれじゃあヤハラ先生だ」(2006/10/17)とは笑止! ヤハラ基準では、二文字の一致はシャレとは認めないのだよ。 せめて、イト、スゲー系統樹、くらいの工夫がほしかったね。 今日は、延岡まで来ました。明日は、北川の河川敷調査です。

ヒメキツネノボタン

布施健吾さんからいただいた屋久島の植物の写真はどれもすばらしい出来映えである。科研費申請書執筆の合間に、ときどき写真をながめ、癒されている。 今日はその中から、ヒメキツネノボタンをアップロードしよう。苔の中から、花と葉がのぞいている。ヒメキ…

ヤクシマタネツケバナ

このタイトルを見て、そんな名前は始めて聞いたという人も多いことだろう。それもそのはず、ここで始めて使う名前である。 一昨年、屋久島固有種ヒメキツネノボタンの自生地を確認に出かけたときに、渓流沿いの苔むした岩の上で、ヒメキツネノボタンやヤクシ…

マツゲカヤラン

写真は、本邦初公開のマツゲカヤラン。屋久島固有種の中でも、発見が困難な種のひとつであり、長い間「幻の植物」だった。新種として記載されて以後、昨年の調査で再発見されるまで、標本記録が途絶えていた。 おそらくスギ天然林内には点々と自生しているも…