聴き歩きフィールドガイド奄美

yahara2007-07-10

屋久島と比べると、奄美大島の生物相には際立った特徴がある。動物の種類が豊富なのだ。
先日は、オキナワキノボリトカゲを写真で紹介した。トカゲ類では他に、足がきわめて小さなバーバートカゲを見ることができた。
ヤモリの類では、ナキヤモリの別名があるホオグロヤモリや、もっと低い声でなくタシロヤモリがいる。
カエルに目を転じれば、緑色の地に金紫色の斑紋を持つイシカワガエルがいる。日本産のカエル類ではもっとも派手なカエルだ。
このほか、固有のカエルに、オットンガエル、アマミハナサキガエル、アマミアオガエルがいるし、奄美から沖縄にかけて分布するリュウキュウアカガエルやリュウキュウカジカガエルなどもいる。屋久島と比べ、カエル類の多様性ははるかに高い。
奄美がユニークな鳥相を持つことは、言うまでもない。今回は、オーストンオオアカゲラを間近で見ることができた。森を歩くと、そこかしこで鳥のさえずりを聴くことができた。残念ながら、私は鳥のさえずりに明るくない。音と写真を比べることができれば、とても好都合なのだが。
そのような私にぴったりの本が出版された。

聴き歩きフィールドガイド奄美
鳥飼久裕/解説 上田秀雄/音声
新書判 80ページ 定価1,470円(本体1,400円+税5%)
ISBN:9784829901274 

奄美大島での勤務のあとに、文一総合出版の編集者となったN君が編集した、奄美に対する愛情があふれたフィールドガイドである。
何しろ、サウンドリーダーで音が楽しめるのだ。また、サウンドリーダーがなくても、QRコード読み取り機能つきの携帯電話があれば、音が再生できる。
鳥の写真をながめながら、そのさえずりを聴くことができる。カエルの写真を見ながら、その鳴き声を聴くことができる。セミ類やマツムシ類も収録されている。
また、諸鈍シバヤや平瀬マンカイなどの祭りの写真とサウンドも収録されていて、奄美の文化にもふれることができる。
なかなか気が利いている。
奄美の生き物を知りたい人には、お勧めの一冊である。生き物好きの人なら、この本を手に取れば、きっと奄美に出かけてみたくなるだろう。