君に読む物語

年度末業務とのバトルと、高知→屋久島→大阪の行脚の旅を終えて、さすがに、疲れた。夕方ふと、今日は1日であることに気づいた。1000円で映画が見れる「映画の日」だ。珍しく、明るいうちに大学を出て、「中洲大洋」に向かった。見たのは、ちと恥ずかしいが、「君に読む物語」(原題:The Notebook)。
映画は、美しい湖で、夕日を背に老人がボートを漕ぐシーンから始まる。思えばこの夕日は、物語の行く末を照らす象徴的なシーンだった。
老人は、痴呆症で記憶をなくした老女に、ノートに書かれた物語を読み聞かせる。物語はもちろん、ラブストーリーである。最初は、たわいない初恋の物語だ。ほとんど物事に関心を示さない老女だが、老人の読み聞かせには、「こういう話は好きよ」と反応する。やがて、老女の反応に少しづつ変化があらわれる。ラブストーリーは、二人の別れ、女性の婚約、そして劇的な再会へと展開し、そして、老女はついに、一時的に記憶を取り戻す。
この先を書くのは、野暮だろう。
不機嫌なジーン」と違って、こちらは「ハッピーエンド」のラブストーリーである。ただし、ただの「ハッピーエンド」ではない。あまりにも「理想的」な、悲しくて美しいエンディングである。作り話とわかっていながら、ラストシーンには、目をうるませてしまった。疲れているときには、素直にだまされよう。
映像は◎。とくに、ミズスギの林が美しかった。ほっとしたいという人には、勧められる作品だと思う。