研究者として成功する条件

先日のブログでとりあげた「柳田充弘の休憩時間」で、柳田さんが、研究者として成功する条件について論じておられる。何回かのブログで書かれたことの中で、私も共感できるのは、次の3点。
(1)「研究は好きでやって、しぶとくやって、あきらめないこと」
(2)「その(独創性の)源泉のほとんどは常に少数派を選択したところにあった」
(3)「玉も磨かなければ光らない、努力が重要」「わたくし流には『特異な達成能力』というものが、才能あるなあーということにしてます」
この3点は、研究者に欠かせない必要条件だと思う。好きなことに没頭できること、人と違った道を歩けること、そして人並み以上の実行力。もちろん、これだけで十分ではないが、この3点を満たせば、研究者としてやっていけると思う。
4月になり、新しい卒業研究生・大学院生を迎える。九大に着任して10年が経過したので、今年はやや格別な思いで新学期を迎える。九大生態研では、本人の興味や主体性を重視しているので、受身で学んできた学生にはつらい研究室だと思う。幸い、過去10年間には、自分なりの興味を持って進学してくる学生に恵まれた。これから先もそうであってほしい。
学生の研究テーマを決めるのは、本当に難しい。無難なテーマでは、面白くない。無難な道を歩きたい人は、研究者を志さないほうが良い。さりとて、学部を終えたばかりの学生に、自分でテーマを考えろといっても、なかなかできるものではない。
学生と議論し、学生の興味・関心を見極めながら、ある程度は確実性があり、なおかつチャレンジングなテーマを考える。私はどうも、後者に重点を置きがちなのかもしれない。自分でやっても、苦労しそうなテーマを出したりする。しかし、先がすっかり見えているテーマは、やる気がしないのだ。
学生も、私も、ともにわくわくできるテーマに相談が落ち着けば、その研究は6割程度成功したに等しいと思う。あとの4割は学生の実行力が左右する。
「実行」・・・簡単なようだが、これが難しい。上で、「人並み以上の実行力」と書いた。「人並み以上」という条件は、厳しいものに聞こえるかもしれない。しかし、言うだけでなかなか実行しない人の方が多い。こつこつと実行できる人なら、時間さえかければ「人並み以上」になれると思う。
たとえば論文。毎日必ず1時間、論文の原稿を書ける人は、数ヶ月程度で原稿を完成できる。これを実行できない人は、1年かかっても、論文が書けない。このような、ちょっとした実行力の差が、1年経てば大きな差になり、5年も経てば圧倒的な差になる。
さて、その論文の原稿を預かっている。こちらも実行力を発揮しなければ。
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