レブンアツモリソウの保全研究

昨日は、森林総合研究所北海道支所で開かれた「レブンアツモリソウをモデルとした特定国内野生希少動植物種の保全に関する研究」研究推進評価会議に出席した。私は評価委員という立場で、研究実施計画の説明を聞いた。とても意義深い研究計画だと思った。
第一に、チーム編成がコンパクトで、バランスがとれている。個体群動態・ポリネーション・遺伝的分化・菌との関係という4つの「要」に適任者を配置し、さらに保全に関わる「多様な主体」間の連携のあり方に関する社会科学的研究を担当するスタッフを加えた編成である。
第二に、よく準備が整っている。これまで、限られた資金をやりくりしながら、「レブンアツモリソウの保全」に向けて努力を重ねてきたチームが核になっているので、今年から4年間の研究期間で、確実な成果が期待できる。
第三に、環境省の「地球環境保全等試験研究」という予算枠で、森林総合研究所が、「草」を対象に実施するプロジェクトである。「縦割り」の枠をこえた新しい試みとして、大いに期待したい。懇親会では、環境省林野庁のスタッフからも、このプロジェクトに期待する声を聴いた。
私は、「利尻・礼文」を世界遺産にする方向をめざしてはどうかという提案をした。生物相の固有性と保全状態から考えて、私は十二分に「世界遺産」に値すると思う。
離島における野生生物の保全は、島の経済と切り離せない問題である。また、地元に生まれ育った人は、「慣れ親しんだ自然」の価値がなかなかわからない。「世界遺産」という目標を提示することで、、「慣れ親しんだ自然」を見る島民の意識も変わるだろうし、島の経済の将来について、新しいビジョンが生まれる。このプロジェクトの「社会科学的研究」では、ぜひそのような方向についての研究をとりあげてほしい、とお願いをした。
この提案は、環境省西北海道地区自然保護事務所をふくめ、関係者の間で一度も検討されたことがなかったそうだ。「灯台もと暗しだった」という感想を伺った。私としては決して大胆な発想には思えないのだが、私が加わったことで新しい方向への動きが始まるとすれば、委員冥利につきる。レブンアツモリソウプロジェクトの今後の発展に期待したい。
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