教育

生態学のレポートチェック

後期の「生態学」の成績をつけるために、レポートを全部読んだ。出席・レポート点をつけ、すでに採点を終えている試験の点を合計して、成績評価作業を完了した。今年度は、授業後に提出してもらうレポートを次の週までに読む余裕がなく、今日まで貯めてしま…

「持続可能な社会を拓く決断科学大学院プログラム」が順調にスタート

博士課程教育リーディングプログラムは、「優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため、国内外の第一級の教員・学生を結集し、産・学・官の参画を得つつ、専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫し…

人類の未来を左右する要因

8月6日と13日に決断科学プログラムキックオフセミナーを実施した。テーマは人類の未来を左右する要因。Facebookグループで受講生とやりとりしながら、セミナーを作っていくという、私にとっては新しい試み。これまでの流れをまとめておく。7月13日 専門分野…

決断科学プログラムウェブページ・大学院生向け説明会

九大のウェブサイトに、決断科学プログラムのページが開設されました。 http://www.kyushu-u.ac.jp/education/leading/index.html また、九大ウェブサイト>学生の皆様>お知らせ、に6月11日・12日開催予定の大学院生向けプログラム説明会のアナウンスが掲載…

屋久島での卒研指導

屋久島入りしてから4日が経過しました。「ヤクシカの嗜好性と形質の関係」「ヤクシカ摂食の森林更新への影響」「アブラギリの分布拡大」という3つのテーマで、3名の卒研生が調査を進めています。調査経過はきわめて順調。諸般の事情で、梅雨の真っただ中…

持続可能な社会を拓く決断科学大学院プログラム

一昨日、博士課程リーディングプログラムへの申請を無事終えました。タイトルは、「持続可能な社会を拓く決断科学大学院プログラム」(Graduate education and research training program in decision science for a sustainable society)。英文タイトルにr…

卒業研究生研究計画セミナー

今日は、私が担当している3名の卒業研究生の研究計画セミナーでした。 九大生態研では森林を研究したいと希望する学生はこれまでほとんどいなかったのですが、どういうわけか、今年は3名も森林の研究を希望する学生がいました。そこで、4月にこの3名と一緒に…

論文原稿

私が忙しすぎるために、論文原稿の投稿・再投稿が遅れがちになっている。これは教育者・研究者としてゆゆしき事態だと自覚しているのだが、会議参加中はやはりほとんど時間が割けなかった。移動中の待ち時間や、機内のほうが、改訂作業に集中できる。さきほ…

学士力論のルーツ

ブラックジョークはさておき、学士力論のルーツを少しまとめておきたい。「学士力」の議論はいまに始まったことではないのだ。 「我が国の高等教育の将来像」(平成17年1月28日 中央教育審議会) これは基本文献。この報告に、学位に関して以下の記述がある。 …

卒業論文の書き方(今年の指導経験にもとづくメモ)

昨日は、修論発表会(提出は24日)+卒論の提出締め切り日だった。この一週間あまりは、最低限の部門長業務・年度末業務をこなしつつ、修論・卒論指導に明け暮れた。大学教員としてはまっとうな毎日だが、卒論の原稿を読んで作文指導をするのは、なかなか大…

なぜFigure, Tableを主語にしてはいけないか?

7月22日のブログ記事に対して ところで、(18)の「Figure, Tableを主語にしていないか?」は一般的に言われていることなのでしょうか。 頻繁に見かける表現だとも思うのですが… という書き込みがあったことに、いま気付いた。 確かに、Figure, Tableを主語に…

プログレスミーティング用文書作成要領(試作品)

今年度から毎週火曜日を「プログレスミーティングの日」に決めて、大学院生・卒業研究生と面談している。共通の材料で研究しているメンバーの場合には、グループでミーティングを持っている。こうして教育にかなりの時間を割いているのだが、面談の際のレジ…

教育と研究のハザマ

今日は朝からT君の論文改訂作業に時間を割いた。得られている結果はクリアであり、全体としてとても良く書けている。考察を除いては、随分前に改訂作業が終わっている。 しかし、考察がどうもすっきりしない。いちおう関係のある論文がていねいに引用されて…

集団生物学採点終了

1年生向けの全学共通科目「集団生物学」の採点を終了し、成績を登録した。毎週レポートを出してもらったので、採点にかなり時間がかかってしまった。 授業の後半では、遅刻者がかなり目立つようになった。20分も遅刻しながら、教室にいる友人に手をふって入…

ヒトの脳はネアンデルタールとの交雑を通じて進化した!?

集団生物学の授業のためにヒトの進化に関する最新の研究をレビューした。その過程で、ネアンデルタールとヒトが交雑したことを支持する新しい証拠が発表されていることを知った。ネアンデルタールのDNA配列から、交雑はなかったという結論が出たと思っていた…

ヒトにおける進化の加速

最近読んだ論文の中で、もっとも興味深かったものをあげておこう。 Hawks et al. (2007) Recent acceleration of human adaptive evolution. PNAS 104: 20753-20758. ヒト遺伝子の適応進化に関する論文は最近いくつも出ているが、そのなかでこの論文は、以下…

試験三昧

授業は終わったものの、試験が残っていた。昨日と今日で、3科目の試験をした。3科目の問題を作るのも大変だが、3科目の採点をするのも大変だ。 とりあえず、「生態学II」を片付けた。予想以上に出来が悪い。とくに、寿命の進化に関する次の問題の出来が悪い…

人類集団には有害遺伝子が蓄積しているか?

ついに、授業終了。週3−4回の授業、しかも2つははじめて担当する科目の授業をこなすという「苦行」が終わった。今日は、焼肉を食べて自分で慰労会をした。Mくん、Yさんがつきあってくれた。 今日の「生態学II」最終回では、前回の授業で書いてもらった質…

人間の繁殖生態に関する解説サイト

授業の準備中に、"Sexual attraction and human reproduction"というサイトを見つけた。Plymouth大学心理学部のSALMON(Study And Learning Materials ON-line)というページ。セミナーで読む文献(下記)に関する簡単な解説がある。「教育的」な写真や図が掲…

アトラス・オブ・ヒューマン・ジャーニー:ヒトの移住史を描いた地図

一時限目の「生態学I」を終えてすぐ、明日の「集団生物学」の講義の準備を始めた。 明日からテキスト(保全生態学入門)の第6章に入る。医学部生中心のクラスなので、種内変異の説明にはヒトのデータを使いたいとかねてから考えていた。そこで、約20万年前に…

MHCによる配偶者選択

今日は日曜日だが、明日の「生態学II」の授業の準備をしている。結局、ほぼ一日を費やしてしまった。 明日は、教科書(Evolutionary Analysis)の第12章「老化と生活史形質」を終えて、第11章「血縁淘汰と社会行動」に入る予定。「生態学I」で学んだ適応戦略…

ジャノメチョウとウラギンヒョウモンの比較

九大生物学科の野外実習では、8日間の実習のあとに、2日間の日程をとってデータをまとめ、ポスター発表をする。今日はその発表会だった。グループに分かれてデータをとったのは3日間だけなので、得られたデータは限られたものではあるが、それでも毎年新…

見えるものこそ・・・高校生と高原で過ごした2日間

高大連携合宿のファシリテーターとして、週末は高校生と一緒に、九重山麓のホテルで過ごした。テーマは「環境を科学する」。 254人の参加者(高校生)が、8つのサブテーマグループに分かれて、1日半、サブテーマについて討論し、ポスター発表をしあげるとい…

大学院の転換点

読売新聞の朝刊一面は、5段抜きで「大学院を抜本改革」という見出しを掲げている。小見出しには、「講座制廃止 ”徒弟制度”一掃 文部省、5年かけ」とある。 ほぼ同じ内容の記事が、読売オンラインに掲載されている。 「21世紀COEプログラム」に代わる…

気合・集中・執念:論文を書くための精神論

3日かけて、大学院生の論文原稿を改訂した。本腰を入れて改稿に取り組んでから作業を終えるまでに3日かかったが、一番進んだのは今日である。 いつものことだが、久しぶりに原稿に向かったとき、初日はほとんど進まない。2日目から少しエンジンがかかってく…

ひらめき☆ときめきサイエンスのスナップショット

昨日のスナップショットを、私のウェブサイトに掲載しました。 昨日紹介した4つの「なぜなぜクイズ」への各班の答えが画像で紹介されています。イシガメのオスがメスより小さいのはなぜだろうというクイズに対して、「力ではなくにおいでメスをひきつける」…

ひらめき☆ときめき大団円

ひらめき☆ときめきサイエンス「生物の進化と保全」が無事終了した。準備が大変だったが、今日は楽しかった。参加してくれた中学・高校生は、元気はつらつとしていて、エネルギーを感じた。 午前中は、2時間に及ぶ私の講義。中学生を相手に話すのは初めてな…

根拠なく疑う態度と論理的に疑う態度の違い

MsYさま。昨日のブログに対するコメントをありがとうございました。 「ドグマ、学説、思い込みに常に疑問を投げかける精神」を教えることは、科学者を育てる教育においてのみならず、教養レベルの科学教育にも必要なことです。だからこそ、私はコラーゲンを…

コラーゲンと生物学教育

16日のブログへのコメントで、MsY さんから、『私は、「飲むコラーゲンはインチキ」「そんなことがあるわけがない」と科学の授業の場で、学生のための教養として教えることは「非科学的」であると思います。科学の授業であるなら、その根拠を追求するという…

少人数ゼミ・ブログ

少人数ゼミ「九大新キャンパスにおける森林と水辺の生物の保全」は、今年で5年目。今年は、ぜひとも、本をまとめたい。本のタイトル(予定)は、『森を動かす 九大新キャンパス生物多様性保全事業の挑戦』。 本の目次案は、以下のとおり。 第1章:森が動く…