ひらめき☆ときめき大団円

ひらめき☆ときめきサイエンス「生物の進化と保全」が無事終了した。準備が大変だったが、今日は楽しかった。参加してくれた中学・高校生は、元気はつらつとしていて、エネルギーを感じた。
午前中は、2時間に及ぶ私の講義。中学生を相手に話すのは初めてなので、わかりやすくするために相当工夫をした。しかし、これだけは伝えたいとい要求水準は守った。中学生相手に、適応戦略や自然選択の話をしたのである。幸い、感想文には、「(中学の)授業と違って早口でついてくのが大変だったけど、面白かった」とあった。
午後は、生物多様性保全ゾーンでの野外観察。34名の参加者を6つのグループに分け、各グループあたり1-2名のチューター(研究室のポスドク・大学院生および環境創造舎スタッフの学生)が引率して、生物多様性保全ゾーンをまわった。この時期に観察できる生き物は、本当に限られているのだが、カスミサンショウウオやニホンイシガメをとても楽しそうに観察してくれたので、準備の苦労も吹き飛んだ。幸い、天気にも恵まれ、外を歩くのがとても気持ち良かった。
野外観察から戻ったあと、「なぜなぜクイズ」と称して、次の4つの質問について、グループ討論をしてもらった。
カスミサンショウウオニホンアカガエルはなぜ寒い冬に産卵するのだろうか?
 なぜメスよりオスが多いのだろうか?
 イシガメのオスはなぜメスより小さいのだろうか?
 イシガメはなぜ小川の源流で集団越冬するのだろうか?
事前のスタッフ・ミーティングで、チューター役をつとめるポスドク・大学院生・学部生に質問してみたが、彼ら・彼女らでも、答えるのが容易ではない質問である。必ずしも正解はない。一応、私なりにもっともありそうな答えを用意はしたが、参加者の中学・高校生から意外なアイデアが出ることをひそかに期待していた。
しかし、一方では、中学・高校生には難しすぎるのではないかという不安もあった。
結果として、この不安は杞憂だった。班ごとに、答えを模造紙に書いてもらい、模造紙を教室の壁に貼って、どうしてその答えを考えたかを、各班から発表してもらった。私が考えた正解はいずれかの班から提出されたし、私は考えもしなかったが、調べてみると面白そうなアイデアも出た。各班からの発表は、私が予想した以上に、盛り上がった。自分たちの観察経験と討論を通じて、まだわかっていないことがたくさんあることを、感じ取ってもらえたのではないかと思う。
模造紙に書かれた解答は、デジカメで記録をしたので、私のウェブサイトに載せて、記録にとどめようと思う。
各班からの発表が盛り上がり、予定よりも多くの時間をとってしまったので、講義のあとで書いてもらった質問票に答える時間がなくなってしまった。質問への回答も、私のウェブサイトに掲載する予定である。
このようなプログラムを準備するのは、大変だった。何事も、最初の形を作るのが一番大変である。今回、ひとつのメニューを作れたので、同じメニューなら、そんなに苦労せずに実施できる。次回は、いろいろな点で、今回よりもさらに改善できるだろう。
しかし、私の経験では、行き届かないところも多い初回のイベントのほうが、実は感動が大きい。最初は確かに大変なのだが、それだけに、投入する努力量・エネルギーが大きく、参加者にはその熱意が伝わるのだと思う。
参加してくれた34名の中学・高校生にとって、今日の経験が、長く記憶に残るものであってほしいと願うものだが、たぶん、私のこの願いは果たされているだろう。
将来、いつの日か、「あのときの34名のひとりです」といって私を訪ねてくれる人がいるかもしれないと考えるのは楽しい。
さて、嵐のような1週間が終わった。1週間で4回の講演をこなした。どれも、しっかりと準備をしなければこなせない行事ばかりだったので、さすがに疲れた。
ちょうど藤崎駅についた。今夜はゆっくり休もう。明日にはまた、急ぎの仕事が待っている。