試験三昧

yahara2008-01-29

授業は終わったものの、試験が残っていた。昨日と今日で、3科目の試験をした。3科目の問題を作るのも大変だが、3科目の採点をするのも大変だ。
とりあえず、「生態学II」を片付けた。予想以上に出来が悪い。とくに、寿命の進化に関する次の問題の出来が悪い。

キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)は25度で飼育すると、通常5日間で成虫になって繁殖を開始する。キイロショウジョウバエの実験集団を用いて、生後4〜5日の齢の成虫から産まれた子孫だけを選抜して育てた。24世代にわたってこの選抜を続けたところ、メスの平均寿命は36日から29日に、オスの平均寿命は29日から25日に短縮した。このような寿命の変化を、有害遺伝子の蓄積(the accumulation of deleterious mutations)によって説明せよ。

このテーマに関しては、最後の授業で補足説明をしたので、もうすこし理解ができていると思っていた。確かに、有害遺伝子の蓄積にせよ、拮抗的多面発現にせよ、理解に一定の抽象力を必要とする。両者をきちんと区別して考えることにも、論理性が必要とされる。さらに、上記の実験条件下では、寿命が中立形質になってしまっている(淘汰は繁殖開始齢にしか作用せず、その後の生存力には作用しない)のがポイントだが、この点の理解にも抽象的な思考力が必要とされる。

とはいえ、授業でかなり説明したのになぁ。この問題が解けないということは、人間集団における有害変異遺伝子の蓄積問題に関する私の解説も、正確には理解されていないということになる・・・。かなり準備をして、わかりやすく説明したつもりだったので、残念な結果だ。

最後の授業で補足説明をしたことから考えて、寿命の進化に関連する問題が出ることは予想の範囲だったと思う。上記の問題は、教科書に図が出ている実験に関するものなので、教科書を読んでよく考えれば、理解できるはずだ。もっとも、教科書は英語だけど。

合格率はわずか60%。私がこれまで採点したなかでは、もっとも低いだろう。鬼だな、これじゃ。

得点分布は図のとおり。分布は左側(高得点側)に偏っているし、よくできている人もかなりいるので、これで良いことにしよう。50点台が少なくて、60点台が多いのは、ボーダーラインの数名を救済したためである。この点では、仏のはずだ。残る50点台の答案をみると、とてもそこまで救済する気にはなれん。