気合・集中・執念:論文を書くための精神論

3日かけて、大学院生の論文原稿を改訂した。本腰を入れて改稿に取り組んでから作業を終えるまでに3日かかったが、一番進んだのは今日である。
いつものことだが、久しぶりに原稿に向かったとき、初日はほとんど進まない。2日目から少しエンジンがかかってくる。3日目には作業が加速するのが実感できる。あらためて、論文を書くのに必要なのは、気合・集中力・執念だと感じる。
酒井聡樹くんが、『これ論』大改訂増補版を出版するそうだ。おそらく、「なかなか論文を書けない若者のために」も収録されるのだろう。ちょうど大学院生の論文を改稿していたので、久しぶりに「なかなか論文を書けない若者のために」をななめ読みしてみた。なかなか良く書けた指南書だと思う。『これ論』本体のほうは、以前に読んだとき、あまりぴんとこなかったのだが、「なかなか論文を書けない若者のために」はとても良い。Excellentだ。
気合・集中力・執念、などという短い念仏で済まさずに、論文を書く意欲を高めるための親切なアドバイスと熱いメッセージが、手を尽くして書き込まれている。私が読んでみて、加筆したいと思うことはほとんどない。
敢えてあげれば、次の点だろう。
●書く「技術」を身につけるには、書いて、書いて、書きまくるしかない。
論文を書くには、「技術」が必要である。「技術」を身につけるには、「型」を体で覚える必要がある。いくらノーハウを本で読んでも、すぐに「技術」はつかえない。「理解」するだけではダメだ。「体得」しなければ、使い物にならない。
そして、論文を書く「技術」を「体得」するには、書いて、書いて、書きまくるしかないのである。もちろん、効率よく「体得」するには、「技術」を「体得」した人から指導を受けることが大切だが、本人の執念が強ければ、自力でも相当高い水準の「技術」を「体得」できるだろう。
さて、手元にはまだあと4編の原稿がある。気合を入れて、集中して片付けよう。