なぜFigure, Tableを主語にしてはいけないか?

7月22日のブログ記事に対して

ところで、(18)の「Figure, Tableを主語にしていないか?」は一般的に言われていることなのでしょうか。
頻繁に見かける表現だとも思うのですが…

という書き込みがあったことに、いま気付いた。
確かに、Figure, Tableを主語にした文章は、多くの論文で使われている。しかし、このような文章は、推奨できない。その理由は、次の2つの例を比較してみればご理解いただけるだろう。

  • AはBである(Fig.1)。BはCである(Fig.2)。したがって、AはCである。
  • Fig.1はAがBであることを示している。Fig.2はBがCであることを示している。したがって、AはCである。

このような抽象例を比べてみても、前者のほうが簡潔だということがわかる。
さらに、前者ではA, Bという具体的事象が読者にまず提示される点で、後者よりもわかりやすい。この点は、具体的な文章例を比較してみれば、一目瞭然である。

  • ハマカンゾウは赤い花をつける(Fig.1)。赤い花はアゲハチョウ類に好まれる(Fig.2)。したがって、ハマカンゾウはアゲハチョウ類に適応していると考えられる。
  • Fig.1は、ハマカンゾウが赤い花をつけることを示している。Fig.2は、赤い花がアゲハチョウ類に好まれることを示している。したがって、ハマカンゾウはアゲハチョウ類に適応していると考えられる。