アトラス・オブ・ヒューマン・ジャーニー:ヒトの移住史を描いた地図

一時限目の「生態学I」を終えてすぐ、明日の「集団生物学」の講義の準備を始めた。
明日からテキスト(保全生態学入門)の第6章に入る。医学部生中心のクラスなので、種内変異の説明にはヒトのデータを使いたいとかねてから考えていた。そこで、約20万年前にアフリカからヨーロッパに移住したヒトの祖先が、どうやって地球全体にひろがっていったかをわかりやすく描いた地図を探してみた。すでにいくつかの地図は手元にある。しかし、もっと新しい、より信頼のおける、ビジュアルな地図が、きっと公表されているに違いないと思って探してみたら、次のサイトがヒットした。

National GeographicとIBMのパートナーシップによって作られたサイトである。これはすばらしい。
20万年前から6万年前まではひとくくりだが、その後は5000年単位で氷河や海岸線の変化が地図上に示され、地球上の各地に移住したヒトの文化的変化が解説されている。地図上の○をクリックすれば、その時代のその場所での出来事がわかる。解説はなかなか適確で、バランスがとれている。また、各時代区分ごとにビデオが用意されていて、スライド画像を見ながら音声による解説が聞ける。
また、ヒトの移住史解明の手がかりとなる遺伝マーカー(ミトコンドリアDNAのハプロタイプY染色体配列タイプ)ごとに、地球の地図上での移住経路が示され、それらのマーカーを持っている人たちの写真も表示される。いままで見た類似のサイトの中で、もっとも内容が充実していて、もっとも魅力的である。