2005-01-01から1年間の記事一覧

少人数ゼミでブログを推奨

と書いたところで、終業のベルが鳴った。また、来週。 少人数ゼミの受講生には、瀬名ブログのやり方をまねるので、来週までにブログを開設するように指示した。 こちらも、講義ブログを新たに開設するほうが良いのかもしれない。しかし、私という人間は一人…

講義ブログの可能性

私の古巣の東大総合文化研究科で、「科学技術インタープリター養成プログラム」がスタートした。このコースで「科学技術ライティング実験実習I」を担当されるのは、パラサイトイブの瀬名さん。その瀬名さんが、講義ブログを開設されている。 この講義の第一…

科研費申請書完成

基盤研究(A):「蝶・ハナバチ媒花から蛾媒花への進化に関する実験的・分子生態学的研究」の申請書を完成させた。9月18日のブログで、冒頭部分を紹介したが、その時点からちょうど1ヶ月かけて、完成させたことになる。 「花生態学の『モデル生物』を開発…

授業スタート

屋久島から戻り、授業を開始。今週から「教官らしい」生活に復帰である。 昨日(月曜日午後)は、研究室のセミナー。今回は、修士論文作成に向けてのM2のセミナーだった。修士課程の単位ゼミをかねている。 昨日(火曜日1時限目)は、「生態学I」の講義。 …

発泡日本酒「恋ほたる」

少人数ゼミの実習の帰り道に、九州大吟醸を作っている地元の酒蔵、杉能舎に立ち寄って、新発売の「恋ほたる」を半ダース買ってきた。仕事が一段落したところで、研究室で飲んだ。瓶の中で発酵させ、発生する二酸化炭素を閉じ込めた発泡性の日本酒である。少…

イシガメの回帰能力

今日は秋晴れ。空はどこを見ても同じように青く、緑の木々とのコントラストが美しかった。気温は、暑からず、寒からず。こんな日に、少人数ゼミの実習で、新キャンパスの保全緑地を歩けたのは、幸運だった。 午前中は、5箇所の池で水生動物の調査。網ですく…

屋久島調査日程終了

今回の屋久島調査の全日程が無事終了した。主要な成果は3点ある。 第1に、30年前の林床植生データがある小花山試験地(1ヘクタール)の林床植生調査を終えることができた。ヤクシカの摂食圧増加の下で、林床植生がいかに変化したかを示す貴重なデータを得る…

屋久島まるごと保全協会発足

今夜は、「プロジェクトY現地世話人会」の方々と、これからの取り組み方についての打ち合わせ会を持った。「現地世話人会」はもはや、プロジェクトの世話人会から、ヤクシカ・屋久島の森・人間の関係を考え、対策についての合意形成を進め、行政に提言を行う…

シンポジウム「屋久島生態系の保全」アンケート集計結果

公開シンポジウム「屋久島生態系の保全〜希少植物とヤクシカの動態を中心として〜」は、106名の参加を得て、無事終了した。森林総合研究所チームが企画したシンポジウム「屋久島の森林の成り立ち〜ヤクスギとヤクタネゴヨウの森〜」とともに、財団法人屋…

新キャンパス生物多様性保全ゾーンで魚の無断放流

「環境創造舎の日々」によると、新キャンパス生物多様性保全ゾーン内の池で、放流が行われたらしい。伊都キャンパスと命名された新キャンパスでは、10月から工学部の約半分が移転し、授業が始まっている。移転する学生の中に、ブラックバスなどを放流して、…

めだか池と環境保全水田の異変

九大新キャンパス生物多様性保全ゾーンには、「めだか池」と呼ばれる水生生物保全用の池が作られている。この池には、上流の砂防ダムから暗渠で水が供給されている。ダムの堤体の下部に、暗渠からの給水口があり、ここから流れた水が、学内NPO環境創造舎が毎…

行政と研究者の「縦割り」

今日は、植生防護柵(シカが摂食しないように林床植生を囲む柵)を新たに設置する場所の下見をした。トランセクトによる分布調査結果から、希少種の分布が集中している場所を選んで、候補地に出かけてみたが、なかなか適当な場所が見つからない。屋久島の地…

少雪化

福岡から車を運転して、鹿児島に到着し、ホテルにチェックインしたところ。 気象協会のしまださんから、少雪化については、「日本の水資源」が参考になるというコメントをいただいた。 この資料を見ると、東日本・日本海側の降雪量は、1990年以後、ほぼ…

少雪化(つづき)

環境研の研究プロジェクトのサイト、「森林生態系の脆弱性評価に関する研究」4.結果・考察、に気温が2度上昇した場合の積雪量変化予測が紹介されている。予測モデルの内容については詳しい記述がないので、よくわからないが、気温の増加が積雪量の減少に…

温暖化・少雪化とシカ増加の関係

今日は、松田裕之さん、梶光一さんらと、丹沢山地堂平周辺のブナ林を見てきた。シカが増え、林床植生が激減した場所である。また、シカに対する防護柵がいくつも設置されており、シカの摂食がない状態で、植生がどの程度発達するかを観察することができる。 …

丹沢山地のシカ管理と自然再生

神奈川県生命の星・地球博物館で開催された市民セミナー「シカと山と人の新しい関係:狩猟管理から生態系管理へ」は無事終了。100人をこえる参加者があり、盛会だった。若い参加者が多い点が印象に残った。丹沢山地においてシカが植生にどのような影響を与え…

微生物が雲を作る?

雲に興味が湧いたので、今日は雲と生物の関係について書いてみる。海洋微生物が、長距離分散のための適応戦略として、雲を作るのだという仮説がある。この仮説を知ったのは、ケンブリッジ大学に滞在中のHさんを訪ねたときのことだ。この仮説の提唱者が、あの…

ハリケーンと温暖化(3):雲の動きの難しさ

前回のブログの内容に関して、気象学の研究者の方からメールをいただいた。ハリケーンの規模拡大と温暖化の関係を考えるうえで最大の問題は、「モデルの中での雲の表現の不確かさ」にあるそうだ。ハリケーンが渦をまき、発達するためにはエネルギーが要る。…

ハリケーンと温暖化(2):より妥当なモデルをどう選ぶのか?

昨日引用した元村さんの発言に端を発して、理系白書ブログでコメントが続いている。ハリケーンと温暖化の関係がどの程度わかっているかについては、私も関心がある。私は気象学の専門家ではないが、非常に複雑な系を扱っている点では、気象学と生態学は兄弟…

ハリケーンと温暖化:不確実性にどう向き合うか?

理系白書ブログの元村さん曰く。 7月にNOAAが今シーズンのハリケーン予測をしていたけれど、「例年より上陸数が多く、威力も増す」との内容だった。今のところ、うれしくないけど大当たりというところか。 地球温暖化と結びつける人がいるけれど、どうなの…

遺伝子組み換え作物開放系研究への道(続)

GM

富山から東京に向かう車内で書いている。昨夜、うっかり消してしまった原稿のうち、シンポの紹介にあたる部分をもういちど書いておこう。 シンポの講演者は3人にしぼり、総合討論の時間を45分設けた。 私と芝池さんの共同講演(話をしたのは私)では、複雑に…

遺伝子組み換え作物の開放系利用への道

GM

日本植物学会富山大会シンポジウム「遺伝子組み換え植物の開放系研究と開放系利用:科学者は合意形成に向けてどう対処すべきか?」について、かなり長めの報告を書いた。書いている間に、モバイルカードによる接続が切れたので、もういちどつないだら、ウィン…

ピーター・ジェニングスからのメッセージ

テレビをつけると、BS1で「ピーター・ジェニングスからのメッセージ」という番組をやっていて、一部を見た。「彼のあまりにも早すぎる死は・・・」というアナウンスにびっくり。不覚にも、彼が8月に他界していたことを知らなかった。肺がんのために、5月か…

シカと人と森の関係をめぐるシンポジウム(その2)

次は、私が代表者をつとめる環境省環境技術開発等推進費プロジェクトの報告会。調査地である屋久島で開催する。島の人たちと研究成果を共有し、ヤクシカの増加という問題にどう対処するか、一緒に考えようという集まりである。 屋久島生態系の保全−希少植物…

シカと人と森の関係をめぐるシンポジウム(その1)

もう明日になってしまったが、明日は富山(植物学会大会シンポジウム:遺伝子組み換え植物の開放系研究と開放系利用―科学者は合意形成に向けてどう対処すべきか?→プログラムと講演要旨)に出かけるので、今夜のうちにアナウンスをしておこう。 10月前半に、…

花の色と匂いの生産を制御する転写因子

今日は終日、キスゲプロジェクトの科研費申請書の研究計画を煮詰めるために、ダウンロードしたままきちんと読まずにいた関連の論文を読んでいる。 キスゲプロジェクトでは、送粉昆虫の意思決定に関する実験と並行して、花形質に関与しているQTLをマッピン…

ブログと選挙

Ostromさんから、「人間が織り成す社会における選挙制度において、中間にある最適解を得るためには、個人に対する「情報」と財の供給に、規制・制限があってはならないとも思います。」というコメントがあった。財についてはすぐに判断がつかないが、「情報…

キスゲプロジェクトがめざすもの

写真の左側は、ハマカンゾウ、右側は、ユウスゲ(キスゲ)。いずれも、ユウスゲ属の植物で、ハマカンゾウは昼咲き、ユウスゲは夜咲きである。これら2種を交配して雑種を作り、さらに雑種どうしを交配して、雑種第二世代の種子をとった。いま、その種子から育…

自民圧勝への評価再論

9月12日[徒然]自民圧勝はフリーハンドを与えすぎか?、に対して、Ostromさんから何度かコメントをいただいた。今日とどいたコメントには、次のように書かれていた。 大学教授という社会的立場にあるY先生に言動は、民間人のそれと違い、社会的に重要視される…

日本植物学会遺伝子組み換えシンポジウム講演の構成

GM

共同講演者との打ち合わせの結果、次のような構成で話をすることにした。 (1)要旨にあげた3つのポイント 科学的命題と価値的命題を区別すること リスクという考え方 人間の心理的傾向の生物学的背景 (2)リスク評価と合意形成 開放系利用のリスク評価…