日本植物学会遺伝子組み換えシンポジウム講演の構成

共同講演者との打ち合わせの結果、次のような構成で話をすることにした。

(1)要旨にあげた3つのポイント

  • 科学的命題と価値的命題を区別すること
  • リスクという考え方
  • 人間の心理的傾向の生物学的背景

(2)リスク評価と合意形成

  • 開放系利用のリスク評価のジレンマ
  • 研究者・生産者・消費者の合意形成の重要性
  • 企業のモラル:モンサント問題

(3)では、私たち科学者はどうすれば良いか?

話の組み立てを相談している過程で、GM植物の開放系研究・開放系利用をめぐる問題は、自然再生事業の問題と共通の構造を持っていることを、再確認できた。
多様な価値観を持つ主体間で、仮説選択に関する合意形成を進め、検証のプロセスに関する情報を共有することで、順応的に問題を解決していく必要があるのだ。
国に規制撤廃を求めても、問題解決の方向は見えてこない。研究者が直接、消費者や生産者と議論をし、開放系研究・利用にともなうさまざまなリスクを定量的に評価するための仮説について合意し、「為すことによって学ぶ」というプロセスを共有することが重要である。
国は、GM植物の開発だけでなく、合意形成に依拠した開放系研究のプログラムを支援する必要がある、という問題提起をしようと思う。