温暖化・少雪化とシカ増加の関係

yahara2005-10-02

今日は、松田裕之さん、梶光一さんらと、丹沢山地堂平周辺のブナ林を見てきた。シカが増え、林床植生が激減した場所である。また、シカに対する防護柵がいくつも設置されており、シカの摂食がない状態で、植生がどの程度発達するかを観察することができる。
確かに、林床は手入れの行き届いた公園のようだ。丈の低い1年草のアシボソが地表を覆っているだけ。ブナ林を見慣れた者には、異様な光景である(写真参照)。本来なら、スズタケが群生し、登山路を離れて歩くことは難しいはずの場所だ。
実際に、尾根筋の防護柵の中には、スズタケが茂り、低木のツツジ類などが成長している。
私の関心は、植林や林道の影響がない場所で、なぜシカ個体群が増え、林床植生を激変させるほどの密度で維持されているかという点にあった。
私は、少雪化によってスズタケの葉が冬季にも雪の外に出るようになり、スズタケを食べてシカが越冬できるようになったために、シカが高標高地で増え、スズタケの衰退を招いたのではないかという印象を強く持った。
日光中禅寺湖畔のスズタケ群落も、シカの摂食によって、ほとんど消失した。この異変の理由として考えていた仮説が、丹沢でも成り立つのではないだろうか。
梶さんに伺ったところでは、北海道でもエゾジカ増加の原因として、少雪化により冬季の餌としてのササの利用度が高まったことが考えられるという。
少雪化とシカ増加の関係については、真剣に調べてみる必要がありそうだ。
なお、昨日の市民セミナーについては、早速、松田さんが報告を書かれていた。