研究

カンボジア初日

昨日は、ゴム庁長官・幹部、林野庁長官・幹部に対して、グローバルCOEプロジェクトに関してプレゼンテーションをした。林野庁長官からはとくに好意的な返答をいただき、夜は会食にお招きいただいた。カンボジアの方々は好意的で親切だと伺っていたが、権威を…

生物多様性モニタリング:衛星観測と地上観測をいかにつなぐか?

11日は朝8時すぎにえびの高原を発ち、11時すぎに九大に戻り、1時から「衛星観測と地上検証によるアジアの生態系・生物多様性モニタリング」という研究会を開いた。講演したのは以下の8名。 矢原徹一(九州大学理学研究院) 趣旨説明:アジアにおける生物多様…

東太湖の水質と水草

今日は湖州市で、苕溪の河口が南太湖に開く場所を見たあと、東に進み、東太湖の湖岸を2箇所で観察した。 湖州市の苕溪河口では、「太湖大堤」という護岸工事と連動した大規模な湖岸公園建設が進行中である。計画されているのは巨大な観光施設である。工事現…

太湖と天目山をつなぐ研究計画

太湖の南西には天目山がそびえている。天目山には、スギ属のCryptomeria fortunei(スギ属には日本産のスギとこの種の2種しかない)、キレンゲショウマなど、西南日本の太平洋側(いわゆるソハヤキ地域)と関連の深い植物が多数見られる。天目山の植物を調査…

ユビキタスジェノタイピングキックオフミーティング・その後上海へ

25日には、絶滅危惧植物の全個体をマイクロサテイライトでジェノタイピングするというプロジェクト(代表者は京大の井鷺さん)のキックオフミーティングに出席した。 とある絶滅危惧種の全個体をジェノタイピングしてから、種子の遺伝子型を調べたところ、未…

咲きほこるエゾキスゲの花園

小清水原生花園で修士1年のMさんがエゾキスゲの開花・送粉生態を調べている。今年の調査地の状況を見て、調査計画を現場で相談するために、私も2泊3日で小清水原生花園を訪問した。女満別空港に着いた初日はどしゃぶりの雨だった。4月から結構な日数でフィー…

JBON始動

3日間のJBONコンファレンスが無事終了し、JBON(Japanese Biodiversity Observation Network)が発進した。 JBONコンファレンスのプログラムは、JBONウェブサイト(http://www.j-bon.org/)にある。非常に充実したプログラムなので、広くアナウンスすれば相…

科学研究費補助金データベースと研究者リゾルバー

国立情報学研究所が作成した以下のデータベースが一般に公開された。発声練習さんの記事(http://d.hatena.ne.jp/next49/20090501)で知った。 科学研究費補助金データベース:http://kaken.nii.ac.jp/ja/searchr.cgi 研究者リゾルバー:http://rns.nii.ac.j…

GEO BON日本委員会始動

ワシントンDCでの最後の夜。あと7時間でホテルを出て、空港に向かう。 ワシントンDC滞在中に、50名ほどの方に連絡をとり、GEO BON日本委員会設立への協力に承諾をいただいた。これらの方々を呼びかけ人として、5月8-10日に東大駒場キャンパスで、シンポジウ…

ダーウィン生誕200年記念シンポジウム

一夜明けたのだが、日本はまだ11日だった。 「今日」は、AAASが主催する「ダーウィン生誕200年記念シンポジウム」に招かれている。「ダーウィン生誕200年記念シンポジウム」だから進化を主題にしたシンポジウムかといえば、そうではない。シンポジウムのタイ…

COP10プレコンファレンスの日程決まる

DIVERSITAS科学委員会の3日間の日程が終了した。COP10に向けて、非常に重要なことが決まった。 2010年3月22-26日に、COP10プレコンファレンスとDIVERSITAS科学委員会を日本で開催する(開催地は未定)。生物多様性に関心を持つ日本の関係者からは勝手に決め…

気候変動と種・遺伝子の多様性

コペンハーゲンで2月に開催される気候変動会議(http://climatecongress.ku.dk/)で、DIVERSITASのコアプロジェクト議長のひとりとして、"Direct and indirect impacts of climatic change on species diversity and genetic diversity"というタイトルで話…

育種学会シンポ「稔性回復遺伝子の多様性と進化」

昨日(日曜日)は、滋賀県立大学で開催された育種学会シンポジウムで講演した。先週の筑波に続き、2週連続の高座。まだ時差がとれていないのだが・・・。 Mさん、育種学者のTさんと一緒にハマダイコン野生集団での細胞質雄性不稔遺伝子の頻度を調べた論文…

アパラチア山地におけるクリの激減

アパラチア山地において、クリ属の種(Castanea dentata)がアジアから侵入した菌による病害のために激減したのは有名な話だが、具体的なデータを調べてみたことはなかった。今回の旅行で、Coweeta試験地で行なわれた研究成果を報告した論文の別刷をいただい…

阿蘇シンポ

昨日から、総合地球環境研究所湯本プロジェクト「日本列島における人間―自然相互関係の歴史的・文化的検討」の研究集会に参加している。 昨日は、公開シンポジウム「阿蘇・くじゅうの草原の歴史と未来を探る」が開催された。阿蘇の草原の歴史を知り、その未…

植物の多様性維持機構への質問

日本進化学会「夏の学校」での私の講演に対して、yamadaさんから、3つの質問をいただいた。以下はこれらの質問への回答。 ?Yahara先生のお考えでは、植物の多様性維持機構を最もよく説明する説は ニッチ分化説で、中立説も重要だが、中規模かく乱説やジャン…

日本進化学会参加登録と要旨登録

その締め切りが今日である。昨年は学生実習と日程が重なったために参加できなかったが、今年は参加できる。楽しみだ。 今回は、シンポジウムと夏の学校に招いていただいた。 適応進化を支えた遺伝基盤(オルガナイザー:大島 一正・長谷部 光泰) 藤原 晴彦…

教育と研究のハザマ

今日は朝からT君の論文改訂作業に時間を割いた。得られている結果はクリアであり、全体としてとても良く書けている。考察を除いては、随分前に改訂作業が終わっている。 しかし、考察がどうもすっきりしない。いちおう関係のある論文がていねいに引用されて…

エゾキスゲのつぼみに群がるシワアリ

エゾキスゲを観察していて気付いたことの続報。写真のように、つぼみにはしばしばアリが見られる。知人の同定によれば、シワアリという種類。 おそらくエゾキスゲのつぼみの表面から花外蜜が出ているのだろう。つぼみには他にもさまざまな昆虫が訪問している…

エゾキスゲはケシキスイ媒花?

25日(水)から再び北海道に飛び、卒業研究生のMさんが調査を続ける小清水原生花園を訪問して、エゾキスゲの観察をしてきた。 空港につくころに、オホーツク高気圧が張り出して、天気が回復した。晴れ男の面目躍如・・・のはずだった。しかし、網走近辺では…

朝に開花するエゾキスゲ

木曜日の学振POの会議後に北海道に飛び、小清水原生花園でエゾキスゲの開花習性について観察をしてきた。私は昨夜ひとまず戻ったが、卒業研究生のMさんは、いまも現地で観察を続けている。7月20日まで観察を続ける予定である。私も水曜日には再び北海道に飛…

ネアンデルタール人のゲノム研究

roadman2005さんから、「ネアンデルタール人ゲノム配列に混入したヒト配列に関する記事」の連絡をいただいた。 2006年11月にNatureとScienceにあいついで発表されたネアンデルタール人ゲノム配列の論文に関して再検討した論文(Inconsistencies in Neanderth…

ヒトの脳はネアンデルタールとの交雑を通じて進化した!?

集団生物学の授業のためにヒトの進化に関する最新の研究をレビューした。その過程で、ネアンデルタールとヒトが交雑したことを支持する新しい証拠が発表されていることを知った。ネアンデルタールのDNA配列から、交雑はなかったという結論が出たと思っていた…

ヒトにおける進化の加速

最近読んだ論文の中で、もっとも興味深かったものをあげておこう。 Hawks et al. (2007) Recent acceleration of human adaptive evolution. PNAS 104: 20753-20758. ヒト遺伝子の適応進化に関する論文は最近いくつも出ているが、そのなかでこの論文は、以下…

オオムギの進化を決めた遺伝子

折りしも、二条オオムギから六条オオムギへの形態変化を決めた遺伝子とその配列変化が特定された。農業生物資源研究所のプレスリリースで詳しく紹介されている。興味のある方は、http://www.nias.affrc.go.jp/pressrelease/20070117/reference.htmlへ。

人類集団には有害遺伝子が蓄積しているか?

ついに、授業終了。週3−4回の授業、しかも2つははじめて担当する科目の授業をこなすという「苦行」が終わった。今日は、焼肉を食べて自分で慰労会をした。Mくん、Yさんがつきあってくれた。 今日の「生態学II」最終回では、前回の授業で書いてもらった質…

植物の科名(Family name)は複数形

先日のブログで、"Thismiaceae is"と書いてもいいような主張をしてしまいましたが、nagaさんから国際植物命名規約にも科名の形式についての定義が書かれているというご指摘をいただきました。 第18.1条 科名は名詞として用いられる複数形の形容詞である。 国…

MHCによる配偶者選択

今日は日曜日だが、明日の「生態学II」の授業の準備をしている。結局、ほぼ一日を費やしてしまった。 明日は、教科書(Evolutionary Analysis)の第12章「老化と生活史形質」を終えて、第11章「血縁淘汰と社会行動」に入る予定。「生態学I」で学んだ適応戦略…

植物と植物病原菌の共進化に関するレビュー

週末は、調査の予定をキャンセルして、植物と植物病原菌の共進化に関する総説原稿の準備にいそしんだ。 3月出版予定の本で、入稿原稿が完成していないのは私だけになったらしい。いよいよ待ったなしの状態。最近、こんなのばっかし。当分は、新しい仕事は引…

John Wiens来る!

来年3月の日本生態学会大会で、「群集生態学への系統学的アプローチ」というシンポジウムを企画していることは何度か書いた。このシンポに招待したCraig Moritzからちっとも返事が来ない。タイトルの締め切りも近いので、大御所を呼ぶのはあきらめて、John W…