太湖と天目山をつなぐ研究計画

太湖の南西には天目山がそびえている。天目山には、スギ属のCryptomeria fortunei(スギ属には日本産のスギとこの種の2種しかない)、キレンゲショウマなど、西南日本の太平洋側(いわゆるソハヤキ地域)と関連の深い植物が多数見られる。天目山の植物を調査することは、私の夢のひとつである。
太湖に流入する河川のひとつは、天目山に源を発している。このため、島谷先生と共同で進める太湖プロジェクトを、将来的には天目山を関連づけたいと思っていた。その思いが、さっそく実った。
李先生が案内してくださった今日の視察先は、天目山に源を発する3つの河川が東苕溪(Ton-Tiaoxi)へと合流する地点にある湿地帯だった。東苕溪は北に流れ、湖州市で西苕溪と合流し、太湖へと注いでいる。西苕溪もまた、天目山に源を発する河川である。東苕溪と西苕溪は、太湖の水量・水質を大きく左右する河川なのだ。
今日の視察をもとにこれからの研究計画を相談した結果、東苕溪の上流域から下流域までのさまざまな地点で、水質調査と動物(魚など)・植物についての分布調査を行い、集水域の物理環境と生物多様性の概況を把握する基礎調査をまず実施しようということになった。
東苕溪は、上海市ではなく、浙江省杭州市、湖州市など)に位置する。このため、東苕溪の植物調査では、杭州市にある浙江大学のスタッフの協力が欠かせない。
幸い、浙江大学のFu教授(植物分類学)とは旧知の仲である。メールで連絡をとったところ、なんと天目山で実習中であり、今日は夕方に実習が終わるという日だった。こちらはといえば、杭州市郊外の瓶窑のホテル(瓶窑大厦)に宿泊する予定となっていた。夜9時半にホテルで再会を果たし、天目山〜東苕溪の植物調査に関する共同研究について短時間の打ち合わせをすることができた。
明日は東苕溪に沿って北上し、湖州市に宿泊する予定である。