植物と植物病原菌の共進化に関するレビュー

週末は、調査の予定をキャンセルして、植物と植物病原菌の共進化に関する総説原稿の準備にいそしんだ。
3月出版予定の本で、入稿原稿が完成していないのは私だけになったらしい。いよいよ待ったなしの状態。最近、こんなのばっかし。当分は、新しい仕事は引き受けられない。
いま準備しているのは、改訂原稿である。第一稿を読んだレフェリーから、ヒヨドリバナの耐病性遺伝子に関するオリジナルデータは解析が甘いので削除し、公表されている研究のレビューに徹したほうが良いという指摘を受けた。なるほど、まったくその通りである。まだ論文にしていないオリジナルデータは、確かに解析が甘い。そのオリジナルデータを加えしようとした結果、原稿の構成に無理が生じていた。
そこで、原稿の後半は、植物と植物病原菌の共進化に関する研究のレビューに徹することにした。教科書的な役割も期待される本の一章を担当しているので、生煮えのオリジナルデータよりは、公表されている研究成果のレビューのほうが、読者にとって役立つに違いない。著者のオリジナリティは、公表されている研究成果の取捨選択と紹介のしかた、今後の展望についてのコメントで発揮すればよいのだ。
しかし、この方針にそって原稿を改訂するためには、ここ5年ほどの間にたくさん発表された、植物の耐病性遺伝子(R遺伝子)と植物病原菌の感染力遺伝子に関する研究論文にひととおり目を通す必要があった。
幸い、今日は学園祭片付け日にあたり、生態学IIの授業は休講だった。そこで、金曜から日曜までに3日間で、重要な論文にはひととおり目を通すことができた。メモを作り、その中から情報を取捨選択し、取り上げる項目の流れを整理し、ようやく方針が固まった。他の仕事もあったので、原稿を書き始めたのは、日曜の午後から。今日も書きついで、ようやく先が見えてきた。
おかげで、植物と植物病原菌の共進化に関しては、研究の到達点と課題について、ずいぶん整理ができた。それにしても、ここ数年の研究の進展はめざましい。ヒヨドリバナに関する私の未発表データは、すっかり時代遅れになってしまった。もちろん、磨けば光るデータではあるが、今はその時間がないのが悔しい。