保全

屋久島研究講座

昨夜の最終便で、鹿児島に来た。これから、8時35分発の便で屋久島に飛び、屋久島環境文化村センターホールで開催される屋久島研究講座(プロジェクトの現地報告会をかねた公開シンポジウム)で話をする。 今回の報告会のテーマは「ヤクシカ全島アンケートに…

新キャンパスでのイベント2つ

今日は、九大伊都キャンパス生物多様性保全ゾーンを利用して開かれた2つのイベントに、講師としてかけもちで参加した。第2回「身近な自然を見つめる目」調査学習会と第8回どんぐりの森をつくろうの2つである。 「身近な自然を見つめる目」調査学習会では、…

レッドリスト:掲載の2.9%に誤記 環境省が陳謝

という記事が、毎日新聞に出た。下記のサイトでまだ見れる。 http://mainichi.jp/select/science/news/20071006k0000m040124000c.html 朝日新聞は、 絶滅野生生物の「レッドリスト」、138カ所に誤り と報じている。こちらの記事は、下記のサイトでまだ見…

アサザ・サクラソウ・シバナ・サギソウが準絶滅危惧にー植物レッドリスト見直し結果公表

環境省は、「哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物I及び植物IIのレッドリストの見直しについて」の結果を公表した。 植物I(維管束植物)に関しては、日本植物分類学会が事業委託を受け、500名以上の調査員の協力を得て、各種・各メッシュごとに前回…

戻りつつある奄美の森

シンポジウムの前後に日程をとって、20年ぶりに奄美の森を歩いた。 最初に奄美大島を訪問したのは、1987年のはずである。そのときの調査結果は、以下の和文論文にまとめられている。 清水善和・矢原徹一・杉村 乾(1988)奄美大島のシイ林における伐採後の…

キクメハシリグモ続報

期待どおり、卒業生のB君から、連絡が届いた。 「九州で70年ぶりの発見」とありますが、実は昨年大分県の中津市でも発見されています。ですので正確には福岡県新記録という形になります。また千葉県の房総半島でも最近生息地が複数見つかっており、その分布…

九大伊都キャンパスでキクメハシリグモ発見ー九州で70年ぶりの確認

今日は、嬉しいニュースが届いた。 福岡グリーンヘルパーの会のメンバーで、クモに詳しいEさんから、以下のようなメールが届いたのである。 右の写真は、メールの添付書類でお送りいただいたものである。 キクメハシリグモ(キシダグモ科ハシリグモ属) Dolome…

ガシャモク

昨日は、わが国で最後に残されたガシャモクの自生地に出かけた。石灰岩の斜面を集水域とする小さな池に生えている。1999年までは大群落があったそうだが、2000年に激減し、現在ではごく少数の群落が残るだけである。 現地を見ていると、決して水質は悪くない…

トキはなぜ減ったか?

今日の午前中は、中央環境審議会野生生物部会に出席した。議題は、トキの野生復帰のために、佐渡東部の国指定鳥獣保護区を拡大する提案だった。この提案自体にとくに反対する理由はないのだが、本土から移入されて増えているホンドテンなどを駆除して生態系…

モニタリングサイト1000

地球環境の変化と言えば、地球温暖化がとりあげられることが多い。もちろん、地球温暖化は、重要な問題である。しかし、私たちの身の回りでは、地球温暖化よりももっと激しい速度で、環境が変化している。 19世紀後半から現在までの地球規模での平均気温の増…

「自然再生展」構想

週末の「自然再生ハンドブック」検討合宿は、無事終了。 「自然再生事業指針案」を検討した1年半前の合宿と同様、合宿参加者の「熱意と経験値と冷静さ」はすばらしかった。 まず私から、第3章「自然再生事業指針の運用例」のサンプル原稿(「対象」「基本認…

キヨスミウツボ群落の墓碑銘

キヨスミウツボの生活 神戸市押部谷町木見新池での保全のとりくみから 中西收・小林禧樹・黒崎史平 著 兵庫県植物誌研究会 ISBN:4990319702 この本が書かれた経緯が、あとがきに紹介されている。 我々が新池周辺でキヨスミウツボを発見したのは、1987年初夏…

沖縄大学院大学用地視察

昨日は、沖縄大学院大学用地を歩いた。尾根上に発達したオオマツバシバを伴う特殊な小湿地は、非常にユニークな植生である。ナガバアリノトウグサの生育環境も、はじめて見た。このような尾根の湿地を避け、なおかつ、イボイモリの生息地があり、希少植物も…

ヤクシカと植物と人間と・・・

30・31日の屋久島現地報告会が無事終了した。30日の公開シンポジウムには約80名の参加があった。参加者に書いていただいたアンケートを、帰りのフェリー船上で入力し、ウェブサイトの屋久島のページに載せた。いろいろな感想があり、考えさせられた。 ヤクシ…

屋久島で公開シンポジウム

5月30日に、公開シンポジウム「屋久島の森がおかしい〜増えるシカ、暗くなる森、滅ぶ植物〜」を開催する。 プログラムは以下のとおり。上記のネームをクリックすれば、新聞折込み用のちらしが見れます。 植物編 7:00-7:30 原生林の林床植物とコケは30年間…

屋久島プロジェクト現地報告会

屋久島で進めている研究プロジェクトの報告会をかねたシンポジウムを下記の日程で開催する。その打ち合わせのために屋久島に来ている。さきほど、屋久島まるごと保全協会(YOCA)のメンバーとの打ち合わせを終えて、宿に戻ったところである。 学ぼう 話そう …

やんばるヘリパッド移設地の環境影響評価

3月25日付けで那覇防衛施設局長あてに、以下の文書を送った。意見は、私の個人名である。これから、委員会で書面協議にかける文案を用意しなければならない。環境影響評価書に相当する「環境影響評価図書案」を見ると、方法書に相当する「継続環境調査検討書…

埋蔵文化財と緑地保全

今日の午前中は、文化財WGの方と打ち合わせをした。新キャンパスの保全緑地内の植生調査定点で、遺跡の測量のために、林床植生が伐採されるという事件があった。かねてから、埋蔵文化財の研究者とのコミュニケーションをはかる必要性を感じていたので、文化…

礼文島の外来植物問題

16日には、札幌に飛んで、「レブンアツモリソウをモデルとした特定国内野生希少動植物種の保全に関する研究」研究推進評価会議に出た。機内でも、バスの中でも、「科学技術振興調整費」の申請書を書いていたので、ブログを書くのが後回しになった。 このプ…

屋久島まるごと保全協会設立

昨夜、7時から9時すぎまで、「屋久島まるごと保全協会」設立総会が開催された。 「まるごと」の意味や、会の目的については、会則の第一章「総則」に次のように記されている。 第一条:本会は、屋久島まるごと保全協会(Yakushima Overall Conserving Associ…

黄土高原生態文化回復プロジェクト

行き着けの定食店で夕食を食べているとき、中国吉林省で13日に起きた化学工場爆発により流れ出したニトロベンゼンが、約400キロ下流のハルピン市に流れこみ、上水道給水が停止され市民生活が大混乱に陥ったという映像が流れていた(→関連記事)。ニトロベン…

科学者は利害関係の調整の場でどのように振舞うべきか?

週末は、JST異分野交流ワークショップ「生態学と経済学の融合」に出席した。とても刺激に富む集まりで、楽しく1日半を過ごした。帰路に報告記事を書きはじめたが、完成できないまま、ウィークデイの喧騒に身をやつしている。私が参加しなかった最終日(月曜…

生物多様性三昧の1週間

昼過ぎに延岡を発ち、福岡に車でもどったあと、日米セミナー用のポスターをかかえて羽田便に搭乗し、いまは横浜行きの京急車中である。いささか、忙しいぞ。 8日前の土曜日の長崎グリーンヘルパー養成講座に始まり、1週間で4つの講演をこなした。すべて生…

特別土地保有税が森を減らす!

九大伊都キャンパス公開講座を終えて、研究室に向かうところ。 昨日の長崎グリーンヘルパー養成講座で、特別土地保有税についての質問を受けた。質問された受講生の方は、7年ほど前に、佐世保市の海に面した山林を購入された。開発せずに残したいというお考…

イシガメの回帰能力

今日は秋晴れ。空はどこを見ても同じように青く、緑の木々とのコントラストが美しかった。気温は、暑からず、寒からず。こんな日に、少人数ゼミの実習で、新キャンパスの保全緑地を歩けたのは、幸運だった。 午前中は、5箇所の池で水生動物の調査。網ですく…

屋久島まるごと保全協会発足

今夜は、「プロジェクトY現地世話人会」の方々と、これからの取り組み方についての打ち合わせ会を持った。「現地世話人会」はもはや、プロジェクトの世話人会から、ヤクシカ・屋久島の森・人間の関係を考え、対策についての合意形成を進め、行政に提言を行う…

シンポジウム「屋久島生態系の保全」アンケート集計結果

公開シンポジウム「屋久島生態系の保全〜希少植物とヤクシカの動態を中心として〜」は、106名の参加を得て、無事終了した。森林総合研究所チームが企画したシンポジウム「屋久島の森林の成り立ち〜ヤクスギとヤクタネゴヨウの森〜」とともに、財団法人屋…

新キャンパス生物多様性保全ゾーンで魚の無断放流

「環境創造舎の日々」によると、新キャンパス生物多様性保全ゾーン内の池で、放流が行われたらしい。伊都キャンパスと命名された新キャンパスでは、10月から工学部の約半分が移転し、授業が始まっている。移転する学生の中に、ブラックバスなどを放流して、…

めだか池と環境保全水田の異変

九大新キャンパス生物多様性保全ゾーンには、「めだか池」と呼ばれる水生生物保全用の池が作られている。この池には、上流の砂防ダムから暗渠で水が供給されている。ダムの堤体の下部に、暗渠からの給水口があり、ここから流れた水が、学内NPO環境創造舎が毎…

行政と研究者の「縦割り」

今日は、植生防護柵(シカが摂食しないように林床植生を囲む柵)を新たに設置する場所の下見をした。トランセクトによる分布調査結果から、希少種の分布が集中している場所を選んで、候補地に出かけてみたが、なかなか適当な場所が見つからない。屋久島の地…