礼文島の外来植物問題

16日には、札幌に飛んで、「レブンアツモリソウをモデルとした特定国内野生希少動植物種の保全に関する研究」研究推進評価会議に出た。機内でも、バスの中でも、「科学技術振興調整費」の申請書を書いていたので、ブログを書くのが後回しになった。
このプロジェクトについては、昨年の4月7日のブログで、第1回の研究推進評価会議の感想を書いた。
1年経って、確実に成果があがっており、それは喜ばしいのだが、気がかりな結果を知った。島内の遊歩道整備にあたって、アカツメクサのふきつけが行われているらしい。国立公園内の整備事業で、それはいかがなものか。環境省には、国立公園内での整備事業で、外来種の吹きつけをしないように、マニュアルを文書化してほしい。特定外来種選定の担当者には、この意見を述べた経緯があるが、考えてみれば、国立公園担当者に意見を言ったことはなかったかもしれない。近いうちに、きちんと意見を言おうと思う。
さて、アカツメクサが増えたことによる生態系への影響はというと、実は「良い効果」が出ているかもしれない。蜜源が増えたことで、レブンアツモリソウのポリネータであるニセハイイロマルハナバチが増えているようなのだ。
レブンアツモリソウは蜜を持たず、マルハナバチ類をだまして、送受粉をさせている。したがって、マルハナバチ類の蜜源植物が増えれば、レブンアツモリソウの結実には「良い効果」が期待できる。
マルハナバチ類の蜜源はというと、アカツメクサセイヨウタンポポなど、外来種が大きな割合をしめている。外来植物の駆除は、マルハナバチ類の個体数を減らすだろう。さて、この状況で適切な対策とは何か?
私は、少なくとも植物に関しては、外来種問題は生息地管理問題以外の何ものでもないと考えている。在来種よりも外来種が優先する生息地環境を人間が作り出しているから、外来種がはびこるのである。
礼文島の場合にも、遊歩道沿いの環境が、礼文島にもともと生育していた植物には適していないのである。遊歩道沿いの環境を、可能な限り礼文島の在来種に適したものに復元することが、対策の基本となるべきだろう。