「自然再生展」構想

週末の「自然再生ハンドブック」検討合宿は、無事終了。
「自然再生事業指針案」を検討した1年半前の合宿と同様、合宿参加者の「熱意と経験値と冷静さ」はすばらしかった。
まず私から、第3章「自然再生事業指針の運用例」のサンプル原稿(「対象」「基本認識の明確化」)と、第3章全体の内容案(小見出しと記述項目を列記したもの)を提示し、検討していただいた。
その後、「フローチャート」「計画・立案」「将来予測と仮説選択」「順応的管理」の4グループに分かれて討議し、夜に草稿を作っていただき、日曜日にその草稿について議論した。
このように、全体討論→グループ討論→全体討論を繰り返す運営方法は、生産的な会議運営の基本だと思う。
2日間の討議で、私が行き詰ってうまく原稿化できなかった部分についても、明快な方向性が出され、記述項目が整理され、部分的には草稿もできた。
合宿で高まったモチベーションが維持されているうちに、一気に原稿を完成させたいと思う。そのため、第3章の原稿完成の期限を8月中とした。今日は、この仕事に集中する。
合宿中に、参加者の一人であるMさんから、「自然再生展」という夢のあるアイデアを頂戴した。生態学会会員が勤務している全国の博物館で協力して、「自然再生展」という巡回展示を実現しようというアイデアである。北海道から九州まで、全国で「自然再生事業」や、それに関連する事業・活動が実施されている。これらの成果をもとに、「巡回展示」を企画するというのは、実にすばらしいアイデアだ。
それぞれの地域の事業や活動を、地域の博物館が担当すれば、きっと工夫をこらした展示ができるだろう。そうやって作った展示を全国の博物館で、順次公開していく。展示がある地域にまわってきたときには、その地域の事業地へのエコツアーを企画するのも良いかもしれない。小・中・高校との連携も考えられるし、さまざまな市民活動とも協働できるだろう。
展示の準備を通じて、全国の博物館関係者や自然再生関係者が力をあわせることができる点がすばらしい。自然科学の普及活動としても、かつてないユニークなものになりそうな気がする。
「自然再生ハンドブック」の原稿を出版社にわたし、日本生態学会生態系管理専門委員会の現体制(第2期)は、来年3月で任期を終える。第3期は、「自然再生展」の実現をミッションに掲げてはどうだろう。
ただし、この企画を支える人材の確保が必要だ。「自然再生事業指針」や「自然再生ハンドブック」は、学会員のボランティアでやれる範囲の仕事だが、全国巡回展示を企画するとなると、事務局員が必要だろう。

となると、まとまった予算が必要だ。
学会がこのようなアウトリーチ活動をすることに対する助成制度があっても良いのではないだろうか。しかし、現実にはそんな制度はない。
どこかの企業が、企画に協力してくれないだろうか。いろいろな可能性を追求してみたい。