bioGENESIS科学委員会

2日間の討議を通じて、生物多様性の進化の研究に関する今後の焦点(Focus)、課題(Task)、研究対象(Research objectives)を選定した。さらに、課題ごとに、アクションプランを作成した。これをもとに、今年のクリスマスまでに、プロジェクトの提案文書が起草される。今後、この枠組みをもとに、各国でグラントを申請し、国際的に連携した研究・事業を展開する。
参加者のうち、Michael DonoghueとJoel Cracraftは、NSFが2001年に領域設定をしたTree of Life プロジェクト(ATOL)の中心メンバーであり、Assembling the Tree of Life (Oxford Univ Press, 576pp, 2004)の編集者である。ATOLでは、2002年から2005年までに103件の研究プロジェクトが採択され、総額59,909,410ドル(1ドル=115円換算で、68億8958万円) の助成が実施された。その結果、アメリカ合衆国は、生命全体の系統関係に関する研究に関して、質と量の両面で、世界を牽引している。
今回の科学委員会で選定された課題のうち、Phyloinformaticsは、明らかにATOL以後の研究戦略を意識しており、今後NSFが、グラントの領域設定にとりあげるかもしれない。DNA配列にもとづく系統学的な情報に、地理分布という空間情報と、形態・生理・生態などの生物学的情報を関連づけ、進化過程を再構成していくという研究の方向性は、これからの進化生物学のひとつのトレンドになるだろう。Phyloinformaticsは、このようなアプローチに対する新しいflagとして、大きなインパクトを持つのではないだろうか。
Analyzing evolution of ecological traits in relation to ecosystem functionや、Understanding evolutionary responses to anthropogenic impactsの課題・研究対象に関しては、私からの提案がいくつか採用された。その結果、次年度以降にこれらのテーマに関して、国際シンポジウムのお世話など、多少の汗をかくことになりそうだ。
充実した会議ではあったが、さすがに疲れた。
科研費の申請に時間をとられたあと、そのまま国際会議に突入したので、いろいろなことにミスが出ている。
7日には、屋久島でプロジェクトの現地報告会を開くのだが、そのチラシにミスがあることが発覚。いかんなぁ。
その報告会の講演準備をしなければならないのだが、今夜、これ以上働くと、限界を超えそうだ。
帰って寝て、明日がんばろう。