2007-01-01から1年間の記事一覧

植物耐病性遺伝子が生殖隔離に関与

ゲノムコンフリクトによる種分化の可能性について勉強したことがある人なら、このタイトルにピンとくるかもしれない。 植物耐病性遺伝子(いわゆるR遺伝子)は、病原体の感染力遺伝子(歴史的事情から英語ではavirulent geneと呼ばれる)に由来する淘汰を受…

ひさしぶりの休息に「ヘアスプレー」

つくばで開催された外来生物の国際シンポで、総合討論のコメンター役を何とかこなし、今朝8時に羽田を発って福岡に戻った。3時限目の集団生物学の授業を終えると、どっと疲れが出た。何しろ、1日にパリから戻って以後、週4日の授業と週末の出張をこなしな…

ヒトはチンパンジーより適応しているか?

「集団生物学」第2回・第3回の講義で使ったパワーポイントファイルをウェブサイトに掲載した。サイトは、こちら。 今日の「集団生物学」第3回の講義では、前回のレポートの悪い例、良い例をパワーポイントスライドで紹介して、レポートの書き方の注意点を学…

さらば哲学の道?

九大公報53号の座談会に毎日新聞の元村さんが登場されている。その元村さん、次のように、なかなか良いことをおっしゃている。 人類が恩恵を受けられる知の財産を生み出す作業は時間と雰囲気が必要です。ゆっくりと考える、ぼんやりと寝転ぶ、何となく散布す…

授業三昧

今日は、1時限目と5時限目に「生態学I」と「生物学通論」の講義をこなした。「生態学I」では、前夜に準備したパワーポイントファイルをノートPCに移して映写確認をしておかなかったため、間違ったファイルを講義室に持って行ってしまい、部屋にファイルをと…

聖徳太子より千手観音になりたい

・・・などと思う日々。 今日から始まった「生態学II」の授業では、最後に10分の「ふりかえり」の時間をとって、(1)関心を持った講義内容の要約、(2)質問、(3)要望、をA4の用紙に書いてもらった。講義の速度・方法・内容は概ね好評。速度に関しては…

首をかけた戦い:キリンのオス間闘争の映像

明日から、P&Pの研究成果概要(別紙3)とGCOEの拠点組織表の授業が始まる。例年はK助教授の担当だが、昨年私がサバティカルをとり、授業をしなかったので、今年は私が生態学IIも担当する。 Evolutionary Analysisの第9章、Studying Adaptation: Evol…

マニラ市街戦の証言

3日連続深夜帰宅、午前3時就寝という不摂生の後に上京し、会議と打ち合わせをこなしたあと、昨夜は都内のホテルにチェックインし、9時ころには寝てしまった。 夜中にトイレに行く時に、点灯する代わりにテレビの電源を入れたところ、 NHKハイビジョン特集「…

レッドリスト:掲載の2.9%に誤記 環境省が陳謝

という記事が、毎日新聞に出た。下記のサイトでまだ見れる。 http://mainichi.jp/select/science/news/20071006k0000m040124000c.html 朝日新聞は、 絶滅野生生物の「レッドリスト」、138カ所に誤り と報じている。こちらの記事は、下記のサイトでまだ見…

おめでとう、ジョージナ!

金曜日は、朝に屋久島を発って福岡に戻り、背広に着替えて上京し、英国大使館へ。コスモス国際賞を受賞されたジョージナ・メイスさんに会って、おめでとうを言った。 彼女とは、IUCNレッドリストカテゴリー改訂のワークショップで、長い議論をした仲である。…

日本生態学会福岡大会シンポジウム「群集生態学への系統学的アプローチ」

日本生態学会福岡大会で企画されている、生態学会大会シンポジウムの概要が、下記のサイトに掲載されている。 http://www.esj.ne.jp/meeting/55/sympo/ しかし、私が企画をしている「群集生態学への系統学的アプローチ」だけは、概要が掲載されていない。そ…

週3回の授業スタート

月曜夜にパリから戻り、火曜日は「生態学I」と「生物学通論」、水曜日(今日)は「集団生物学」の講義をこなした。 3つの異なる講義を同時平行で行うのは初めての体験だ。混乱しないように、メモをしておこう。 「生態学I」は一年生向けの専門科目(理学部…

テット・デ・ヴォー(Tete de Veau)

言わずと知れた、仔牛の頭料理。食べましたよ。 よく煮込んであって、とても美味でした。しかし、鼻の穴だけは隠しようがありません。 デジカメで写真にとって、bioGENESIS科学委員のメンバーに回覧したら、えらくウケマシタ。

Contemporary Evolutionに関するFunctional Ecologyの特集号

今回のbioGENESIS科学委員会から、Andrew Hendryが新メンバーとして加わった。「人間が変え続けている環境の下での適応的進化」というテーマをカバーしてくれる人材としては、余人をもって代えがたいと思う。実際、bioGENESIS科学委員会では、積極的に発言し…

パリ紀行(2)

ルーブル美術館に入館して、絵や彫刻を見た。たっぷりあると覚悟はしていたが、量・質ともに、予想をはるかにうわまわる規模であり、足はすっかり棒になってしまった。途中でソファーにかけて休憩しないと、とても体が持たない。ルーブル、おそるべし。 建物…

パリ紀行(1)

DIVERSITASの新コアプロジェクト、bioGENESISの科学委員会(9月28-29日)は、無事終了。パリ到着の翌日から、2日間、朝から夜まで英語で会議。2日目の夜には、さすがにへとへとになった。夕食が始まったのは10時ころから。私が同席したメンバーの間では、コ…

無事帰国

3泊4日のパリ出張から無事帰国した。いま、成田空港の国内線乗り継ぎロビーのサクララウンジで、ひさしぶりにネットにアクセスしたところ。19時55分発の便で福岡に戻り、今日はそのまま帰宅する予定。 明日は、8時40分から「生態学I」の授業。そのあと、フロ…

キレンゲショウマ受難:九州の脊梁山地をまわって

20日から24日まで、九州の脊梁山地をまわり、キレンゲショウマのDNAサンプルを集めた。Zhang et al. (2006) Genetic diversity of the endangered species Kirengeshoma palmata (Saxifragaceae) in China. Biochemical Systematics and Ecology 34:38-47と…

パリ出張

明朝今日、7時20分発JL3200便でセントレアに飛び、10時05分発JL437便でパリに出張します。用務は、DIVERSITAS(生物多様性研究の国際プログラム)のコアプロジェクトbioGENESISの科学委員会出席、および進化・生態学分野の研究動向調査のため。 宿泊先は以下…

イチョウの巨樹めぐり

今日は、天目山でお世話になった浙江大学のZhao Yunpengさんを案内して、福岡県内のイチョウの巨樹めぐりをした。Zhaoさんは、中国と日本のイチョウの系統関係や遺伝的変異を調べる研究を計画されている。この研究に必要なDNA抽出用に、各地の巨樹から葉…

カリブ海のパイレーツ島

今日は、人間ドック一泊コースから戻り、午後はサイエンスライターの方から取材を受けた。植物生理学会が企画した、植物学を普及するためのシリーズの一冊として、植物の進化に関する本が出版される予定である。忙しい研究者にかわって、サイエンスライター…

首相辞任後の動きへの感想

今日は人間ドック。胃カメラ・大腸内視鏡検査のための長い待ち時間の間に、待合室の新聞をひととおり読んだ。 毎日新聞の岩見隆夫さんが、「近聞遠見」で私と似た意見を書かれていた。 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/iwami/kinbun/ 政界も、世論も、…

安倍首相の辞任

昨日、屋久島で、ヤクシカの餌場になっている町営牧場にいるとき、牛舎からのラジオ放送で突然の辞任を知った。さすがに驚いた。 今朝のテレビ番組で、いろいろな方の論評を聞いたが、いずれも私に納得のいくものではなかった。あまりの稚拙さや無責任さを批…

9.11死者数・原爆死者数・イラク戦争死者数

最終便で鹿児島に飛び、鹿児島空港ホテルに滞在中。ビールを飲んですぐに寝るつもりだったが、テレビをつけると、9.11関連のニュースや、テロ特別措置法に変わる新法のニュースばかり。そういえば、今日は9月11日だった。あのいまわしい事件から、もう6年が…

GoogleEarth上で系統樹を描く

GoogleEarth上で系統樹を描いている人がいるという噂は、以前から聞いていた。訳あって、検索してみた。 http://www.systbio.org/files/aiTreesapril9.kmz で、GoogleEarth上に描かれた鳥インフルエンザの系統樹が見れる。GoogleEarthで地球をグルグル回しな…

不在予定

これから野外実習のため、霧島えびの高原に出かけます。8日に戻ります。 携帯を新しい機種に換えたら、携帯による通信ができなくなりました。cdma対応の機種を選んだのが失敗でした。最新の通信ケーブルは、ほとんどがWIN対応で、私の機種に対応するケーブ…

死に体のColysisをとりあえず生かすことにする

日本産のイワヒトデ属Colysisの種では、胞子のう群が主側脈の間に一列に並び、線状に見える。この特徴は、とてもわかりやすいので、イワヒトデ属Colysisの名前は何とか残したい。しかし、この取り扱いはなかなか厄介である。 上記のように、イワヒトデ属のヤ…

ウラボシ科はうらめしか

先だって環境省から公表された植物レッドリストには、学名の記載ミスがった。一番お恥ずかしいのは、コケタンポポの学名が Solidago altissima になっていること。何人もの委員が目を通しているはずだが、見落としてしまった。もうしわけない。 やむなく、学…

日本の現実に戻って

昨日と今日で、急ぎのメールに対応したあと、18時55分の便で宮崎に飛び、延岡までたどりついた。明朝、国交省の激甚災害特別指定事業が実施されている五ヶ瀬川を視察したあと、夕方には福岡に戻る。 6月までに報告書類は片付けたが、論文投稿が遅れ気味…

天目山再訪、植物相の類似についての考察、そして再び夜宴

昨日は、天目山を再訪し、午前中は山麓の林内を歩いた。前回以上に、九州との共通性を実感した。草本に関しては、共通性があるというよりも、基本的に同じである。同種の割合は9割近いだろう。低木になると、違いが目立つ。日本の種に似ていても少し違って…