おめでとう、ジョージナ!

yahara2007-10-07

金曜日は、朝に屋久島を発って福岡に戻り、背広に着替えて上京し、英国大使館へ。コスモス国際賞を受賞されたジョージナ・メイスさんに会って、おめでとうを言った。
彼女とは、IUCNレッドリストカテゴリー改訂のワークショップで、長い議論をした仲である。さらに、今年から彼女はDIVERSITASの科学委員に就任したので、再び一緒に仕事をすることになった。
写真のとおり、着飾らない人である。
レセプションの挨拶では、「自分はデスクワークをして、現場から遠いところでとりまとめをしているだけであり、私の受賞は現場でデータをとっている人たちの貢献によるものだ」、という趣旨のコメントがあった。
DIVERSITAS本部に受賞の連絡を入れておいたところ、すぐにウェブサイトにアナウンスがアップロードされた。コスモス国際賞英文ウェブサイトの、受賞者・受賞理由紹介のページにリンクがはられている。
このページの受賞理由には、IUCNレッドリストカテゴリー策定と、レッドデータブックプログラムへの貢献が書かれている。もちろん、その貢献は大きいのだが、このような実践の場にありながら、保全生物学への科学的な理解・関心を高いレベルで維持し、Andy Purvisら共同研究者とともに、種の絶滅と保全に関する研究を発展させた功績もまた、大きい。

Cardillo M, Purvis A, Sechrest W, Gittleman JL, Bielby J, Mace GM
Human population density and extinction risk in the world's carnivores
PLOS BIOLOGY 2 (7): 909-914 JUL 2004

は、哺乳類の系統樹を使い、種の分布域の人口密度の独立対比を計算し、人口密度が種の絶滅リスクに与える影響を評価した論文である。分布域の人口密度を種の形質とみる発想にはびっくりした。この発想は、最近の私の研究で応用させていただいている。
この論文の第二著者であるAndy Purvisは、CAIC(Comparative Analysis by Independent Contrasts)という独立対比による種間比較のためのソフトを作った人物であり、系統樹による種間比較研究のリーダーのひとりである。ジョージナは、Andy Purvisのような一流の研究者と共同研究を行い、パイオニア的な研究業績をあげてきた。欧米で、種の絶滅や保全に関する研究をしているアクティブな研究者の間で、彼女はとても尊敬されている。
彼女は長年、ロンドン動物協会に勤務していたが、昨年からImperial CollegeのCentre for Population Biologyの所長職にある。ここには、Andy Purvisその人がいるので、さらに共同研究が発展することを祈りたい。