植物耐病性遺伝子が生殖隔離に関与

ゲノムコンフリクトによる種分化の可能性について勉強したことがある人なら、このタイトルにピンとくるかもしれない。
植物耐病性遺伝子(いわゆるR遺伝子)は、病原体の感染力遺伝子(歴史的事情から英語ではavirulent geneと呼ばれる)に由来する淘汰を受ける。もちろん病原体の感染力遺伝子も植物耐病性遺伝子に由来する淘汰圧にさらされるので、両者の関係は敵対的分子共進化をもたらす。このような共進化を経験した2つの集団が二次的に接触した場合には、植物耐病性遺伝子どうしのエピスタシスによって、交雑不和合性が生じる場合があるのではないか。
このような可能性については、かなり前から気づいていた。分離ひずみ因子とその抑制因子間の共進化が交雑不和合性を進化させることからの連想である。
この可能性に対して、ついに実証データが提示された。やっぱり、あったんだ!

  • Bomblies, K. et al. 2007. Autoimmune response as a mechanism for a Dobzhansky-Muller-type incompatibility syndrome in plants. Plos Biology 5(9): 1962-1972,