9.11死者数・原爆死者数・イラク戦争死者数

最終便で鹿児島に飛び、鹿児島空港ホテルに滞在中。ビールを飲んですぐに寝るつもりだったが、テレビをつけると、9.11関連のニュースや、テロ特別措置法に変わる新法のニュースばかり。そういえば、今日は9月11日だった。あのいまわしい事件から、もう6年が経った。
ふと、合衆国では、2001年9月11日の同時多発テロ事件犠牲者より、原爆による犠牲者のほうが多いことを知らない国民が少なくないという話を聞いたことを思い出した。9.11テロの衝撃が合衆国民にとってそれだけ大きなものだったとも解釈できるが、原爆投下がいかに大きな被害をもたらしたかが合衆国民にあまり知られていないことを物語るエピソードでもある。
しかし、考えてみると、私自身、9.11テロの犠牲者数と、原爆投下の犠牲者数を正確に知らない。それに気づくと、眠気がさめてしまった。
ネットで検索して、数字を確認したので、記録しておく。

911犠牲者数 2973人
長崎での原爆犠牲者数 73884人(1950年長崎市発表)
広島での原爆犠牲者数 90104人(1945年末)

関連して、イラク戦争での犠牲者数を調べてみた。
イラク戦争での米軍犠牲者数:3,748人(うち3,602人は戦闘作戦終了後)
2003年3月19日に開始された『イラクの自由作戦』は、小規模兵力とハイテク兵器の投入により迅速にバグダッドを攻略し、フセイン大統領を捕らえたが、その後の占領は泥沼化し、バグダッド攻略時よりもはるかに多くの犠牲者を出している。
上記のサイトには、民間人犠牲者の情報もあるが、「イラクボディカウント」というサイトでは、次の数字を掲げている。
イラクの民間人犠牲者数 71,510 – 78,081人
原爆投下に匹敵する民間人犠牲者が出ていることになる。
これは控えめな推定で、実際には10万人をこえるという推定が、国際学術誌ランセットに出されているという。
イラクでもアフガニスタンでも、治安は悪化し、犠牲者数は増え続けている。アメリカ主導の戦争は、明らかに行き詰っている。
ペシャワール会中村哲さんの近況が気になって、検索をしてみた。
ペシャワール会サイトの現地報告ページには、8月10日付けで、水路工事進捗報告がアップロードされていた。水路の図入りで、「用水路第一期13キロが完成」という成果が報告されていた。戦火の中でも、用水路工事は着実に進んでいるようだ。
声高に主張するのでなく、現地で必要なことを確実に実現していく中村さんの姿勢はまぶしい。
「世界の名言・名著」サイトには中村さんの名言もとりあげられている。その1番目には、

誰もがそこへ行かぬから、我々がゆく。
誰もしないから、我々がする。

とある。
また、その7番目には、

御託はもう結構。
ただ実行あるのみ。

とある。
主張するより実行することを優先する中村さんらしい言葉だ。
しかし、その中村さんが、

『戦争協力が国際的貢献』とは
言語道断である。

と語られていることを知った(名言の5番目)。
言わずにはおれなかったのだろう。
アフガン戦争が始まってから、井戸を掘り水を確保する活動は、困難をきわめたはずだ。
ペシャワール会2006年度の報告には、

現在、我々にとって最も危険なのはカーブル市内で、欧米軍に近寄るのは危険である。最近の傾向は、欧米軍および(その協力者と取られ得る)諸外国NGOに反政府側の攻撃が集中しており、組織化された動きが目立つようになった。権力闘争だけでなく、麻薬に絡む犯罪、急激な欧化政策に反発する勢力、貧困層の急増に伴う強盗、部族間の反目、これらが一体となって治安は悪化の一途をたどっている。

とある。
国会では、給油新法をめぐって与野党のかけひきが始まっているが、事態を判断する材料として、中村さんを国会に招いてはどうだろう。与野党や、国の面目をかけた争いになっているだけで、事実が軽視されているように思える。