自民圧勝はフリーハンドを与えすぎか?

昨日のブログに対して、Dr. Jasonさんから、「自民+公明で,2/3とは,フリーハンドを与えすぎなのでは?」というコメントがあった。同様な論調が、新聞にも書かれているが、私はそうは思わない。
私は、どうせ自民が勝つのだから、できるだけたくさん議席をとってほしいと思っていた。そのほうが、次のステップに早く進めるだろう。
これもまた、「生態学的」な見方なのだが、議席数が多ければ多いほど、意見の多様性も高まる。
新生自民党(あえてこう呼ぶ)は、政府のスリム化と規制緩和を通じて、市場主義・競争原理による改革を進めるという点では、かなり純化された。しかし、この点以外では、意見の多様性は確実に高まったと思う。
何よりも、女性議員が増えたので、男性とは違う経験・発想が自民党に持ち込まれるだろう。派閥に対する対応も多様化し、派閥の形骸化が進むだろう。
グローバルな競争を強く意識した改革は、ナショナリズムと結びつきがちなので、その点が少し心配ではある。『国家の罠』に描かれたような、より強固な親米路線への傾斜は、アジアにおける緊張を高める要素になる。
しかし、この点に関しても、今回の総選挙によって、実は自民党内の意見が多様化した可能性がある。
私自身は、中程度の政府が理想であり、政府の役割は、競争だけでなく協力をインセンティブとする改革を進め、競争によって生じる所得格差を適切に是正していくことが大事だと思っている。したがって、新生自民党の基調路線とは、かなり意見を異にするが、民主党の路線は、自民党以上に市場原理主義・競争万能主義に傾斜している面がある。むしろ、新生自民党の中に、私の主張に近い意見が内包されていると見ている。
共産党社民党国民新党の主張は、イデオロギーの違いを除けば、かなり良く似ていて、もしこれらの政党がイデオロギーの違いをのりこえて協力する道が開ければ、新しいトレンドが生まれると思う。
しかし、この可能性よりは、大きくなった新生自民党の中から、二つの道が分化していくほうが、現実的にありそうな気がする。
だから、自民党はいちどは徹底して大きくなったほうが良いと思うのだ。
「刺客」たちの今後の活躍に注目したい。