屋久島のフウチョウゴケ

 昨日のトラックバックで、フウチョウゴケが68年ぶりに屋久島で再発見されたことが、毎日新聞に報道されたことを知った。記事の最後には、こう書かれている。

 九州大の矢原徹一教授が昨年、同島でヤクシカの食害調査を始める際、地元住民がコケ類の調査を要望し、依頼を受けた秋山研究員ら4人が調査。・・・秋山研究員は「日本一のコケ群生地とされる屋久島の人たちが、コケを大切にしてきたからこそ確認できた」と話している。

常々、屋久島関連の取材に対しては、地元の方々の意思や気持ちを尊重した記事にしてほしいとお願いしているが、今回はその点に配慮された記事になっていて、嬉しい。
研究者は、研究費がついている期間だけ調査地にかかわる傾向がある。これは予算の仕組み上、致し方ない面もあるのだが、地域研究のあり方としては、決して好ましくない。
地域研究で得られた成果は、地域に還元される必要がある。これからの時代には、研究者もこの点に責任を負う姿勢が求められると思う。
屋久島でのプロジェクト開始にあたっては、地元で説明会を開いた。そのときに、地元の方に「コケの調査はやらないのか」と言われたことが、コケ調査を組織したきっかけであり、それがフウチョウゴケ再発見につながった。
10月8日には、屋久島環境文化村センターで、現地報告会を開く。そのプログラム編成を8月中に終えるつもりだったが、まだできていない。
えびの高原から福岡に戻ったら、まっさきにやらねばならない仕事のひとつである。
10月7日には、森林総研のプロジェクトの現地報告会が、やはり屋久島環境文化村センターで開かれると聞いている。このように、屋久島ではいくつもの研究プロジェクトが進んでいるが、相互の連携はほとんどできていない。この機会に、森林総研のプロジェクト・メンバーとも交流を深め、屋久島の生態系の調査・保全・持続的利用のために、連携をはかりたい。この調整も、まだできていない。
もし関係者の方で、このブログをごらんになった方があれば、矢原までメールでご連絡ください。