中国製ギョーザ中毒事件続報

中国製ギョーザに含まれていたメタミドホスによる中毒事件については、いたずらに不安を煽るのではなく、正確な情報にもとづいて冷静に判断していくことが大事だろう。現時点までに得られた情報では、事件の原因に関する確かな判断はできない。しかしいくつか重要な情報が公表された。

日本生活協同組合連合会が実施した検査により、メタミドホスの濃度は130PPMと判明。これだけの高濃度は、原材料の野菜に農薬が残留していたという理由では説明が困難である。また、兵庫や千葉で中毒にあった被害者の方々が、特別に感受性の高い体質だったわけではなく、実際に高濃度のメタミドホスを摂取したことが確認された。

ジェイティフーズが輸入した中国製冷凍ギョーザを食べた後に下痢などの症状が出たと訴えていた小田原市の家族から空き袋の提供を受けて検査した結果、メタミドホスは検出されなかった。中国国家品質監督検査検疫総局が実施した該当製造日のギョーザの検査でもメタミドホスが検出されていないことから、高濃度の汚染を受けたのは、おそらく一部のパックである。数日内には、回収された商品の検査結果が出るはずなので、汚染されたパックの割合と、汚染濃度が判明するだろう。

過去に同社工場を視察した3社の社長によれば、衛生管理はきわめて高い水準だったという。他のいろいろな報道から総合的に判断して、天洋食品は高い衛生管理水準を確保することで、日本の輸入業者の信用を得て、業績を伸ばしてきた企業である。だからこそ、今回は生協をふくむ多くの事業者が、多くの商品を回収せざるを得ない状況に陥った。もちろん、中毒事件がおきたのだから、どこかにミスがあったはずだが、現時点で得られている情報から判断する限り、高い衛生管理水準の下でなお起きてしまった過失だと考えられる。
中国側の対応に関しては、産経新聞中国総局記者の福島香織さんによる本日付のブログ記事が詳しい。今回の事件に関しては、中国側の対応はすばやく、日本の警察による捜査とも、大使館を通じてきちんと連携をとっている。「日本の警察当局はすでに捜査を開始している段階で、中国側も河北省警察当局も同様の任務についてます。科学的正確な結論が出ない前には、いかなる主観的推測も対外的に発表しないことで双方一致しました」という態度は、適切だと思う。
なお、九大生協が今日の昼に販売した400円の弁当にはギョーザが入っていた。このタイミングでギョーザか、とタイミングの悪さを恨みつつ、理事長として食べてみて、何事もおきないことを確認した。その後、専務と連絡をとり、組合員が安心できるように、輸入元や原材料についてウェブサイトで公表してはどうかと提案したが、すでに来週から当分は、ギョーザの提供は見合わせる方向で対応が進んでいた。