着実に進むレブンアツモリソウ保全研究

昨日は、森林総合研究所北海道支所で開催された、「レブンアツモリソウをモデルとした特定国内野生希少動植物種の保全に関する研究」第3回研究評価推進会議に出席した。
このブログで検索をかけてみると、過去に3回、このプロジェクトについて書いている。私がこのプロジェクトの評価委員として、研究の進展にどのようなコメントをしたかの記録が残っているわけである。しかも、ブログにはオープンにアクセスできる。行政に対して書いた報告書は、情報公開が進んだ今日でも、多くの場合ネット上で見ることができない。ブログというのはつくづく便利なものだ。
さて、研究は着実に進展しているが、とくに重要なのは、5年分の個体群推移行列が利用できるようになったことだ。昨年まで減少傾向にあった個体群増加率がついに反転した。私はいずれ反転するだろうと予想していたが、その予想があたってよかった。今回も含めて過去5年分の推移を見ると、密度効果の存在が明らかである。開花個体が多かった年には、開花個体の死亡率が高い傾向にある。芽生えの発生が多かった年には、芽生えの死亡率が高い傾向にある。非開花個体の死亡率には、芽生えの発生が時間遅れの密度効果としてはたらいているようだ。まだ5年分とはいえ、ようやくこのような密度効果を考慮して、将来のリスク評価ができるようになった。
もうひとつ、社会科学系のスタッフが加わって、植え戻しや培養株の販売に関する意識調査の結果がまとめられた点も、重要な進歩である。現状では、どちらの対策についても慎重意見がかなり多くて、合意に達することは難しい。どうすれば良いかについて、私なりのアドバイスをした。
そろそろ搭乗時間だ。続きはのちほど。

以下、機内で執筆、福岡空港駅地下鉄車内でアップロード。