2年ぶりのメキシコ

昨夜、無事Oaxaca(オアハカと読む)に到着した。2年ぶりのメキシコである。
メキシコシティからオアハカシティ行きの国内線機内で、旧知のMike Donoghueと一緒になった。DIVERSITASの科学委員の一人である。フィールドワークをするために、DIVERSITASの会議より3日早くオアハカに向かうところだった。私と同じである。
まさか、この機内で関係者に会うと思ってなかった、と言われたが、それはこちらも同じである。しかし、少なくとも植物を相手にしているフィールドワーカーなら、オアハカに会議のためだけに出かけるのは惜しいと思うはずだ。3日前というタイミングも、忙しい研究者が割く時間としては妥当な線だ。まったくの偶然というわけでもないだろう。
オアハカシティの北にはシエラ・マドレ・オリエンタールと呼ばれる3000m級の山脈が東西に走っている。この山脈を南北に横切る国道175号を車で走れば、サボテンやアカシアが目立つ乾燥地の植生から、鬱蒼とした雲霧林に至る植生の変化を、1日の旅行で見ることができる。Mike Donoghueは、このルートに出かけるという。私もそこは行きたい場所のひとつなので、一緒に行こうかという話をしたところで、離陸時間が迫り、着席した。席は2列違いの斜め前だった。
オアハカシティに着陸し、機外に出るとき、オアハカ周辺のお勧めの場所を書いたメモをくれた。私がオアハカには不案内だと思ったらしい。
私は、オアハカには何度も来ていて、Stevia oaxacanaという新種も発表したんだよ、と言うと、おお、そういえばステビアをやってたんだ、と昔の会話を思い出してくれた。Mikeは空港でレンタカーを借りて、大学院生や知人と翌朝早くフィールドに発つという。こちらのレンタカーは翌日からの予約なので、一緒に出かける話はこちらからキャンセルした。
オアハカでの宿は、Fortin Plaza Hotel。いつもは各地のフィールドをまわりながら、車でオアハカ入りするので、ホテルの予約をしたことは一度もない。今回は会議のための訪問であり、夜に空港に着くので、インターネットで予約しておいた。これまでにオアハカで泊まったホテルの中で、もっとも豪華なホテルだ。
今朝は、市内でレンタカーを借りて、近くのフィールドをまわった。形態的・生態的に大きく異なる低木性のステビア2種が浸透交雑をおこしている場所があり、そこに行くはずだったが、Diaz Ordazという集落の中で道を間違えて、以前とは別のルートで北の山脈にのぼってしまった。その結果、私たちのチームが発見して新種として記載したStevia crassifoliaの2箇所目の自生地を発見した。新しい場所に行けば、まだまだ新しい発見がある。
この調査のために、今年も「どんぐり拾い」(九大新キャンパスで小中学生にどんぐりを拾ってもらい、育てた苗で森を作ろうというイベント)を欠席せざるを得なかった。今年も盛会だったことだろう。企画・運営をされた福岡グりーンヘルパーの会のみなさん、ご苦労さまでした。