日本学術会議Future Earth講演会(ツイートのまとめ)

  • 基調講演一人目は、毛利さん。「地球の危機」というのはおかしいですよね。危機に面しているのは人間。ポイントは3つ。地球の新しい認識、学術の新しい役割、実践活動。(ゆっくりした、無駄のない話し方は、好いですね。)
  • 6人乗りの宇宙ステーションとそこからの地球の画像。そこから新しい地球観が生まれてきた。確かに地球は暗闇の宇宙の中に浮いていた。地球はある。自分はそこからきた。地球は貴重なもの。一方で、広い宇宙には同じような惑星がどこにでもあるのではないかという思いも。
  • 実験を繰り返す中で地球を見ていると、地球の表面が曼荼羅構造に見えてきた。夜の地球の映像。大気層の上にオーロラが見える。大気層は100キロあるが、とても薄い。この薄い大気によって地球は守られている。地上を見てみると、どこでも灯りが見える。灯りは高速道路や鉄道でつながっている。
  • 地球に戻り、ハッチがあくと、人工の空気と外の空気の違いを感じた、空気に微生物がうようよしている感じ。差し出されたコップ一杯の水がとてもおいしかった。スペースでは燃料電池から出る水を飲んだ。まずい。
  • 宇宙ステーションでは、発達した科学の助けを借りて、人以外のすべての生物を排除した空間で暮らした。その結論として、そんな空間では人は暮らせないことを実感した。私たちはこのように、宇宙から地球全体を見られるようになった。一方で、生命のもと(ゲノム)がわかった。生命すべてのつながりがわかった。
  • 地球生命として生きる(~40億年)ことに思いをはせる必要がある。個人を維持するつながりは60兆個の細胞。人間の文化的つながりは70億人。生命の普遍的つながりは5000万種、~40億年。つながりtsunagariがこれからのキーワード。
  • 続いて安成さんによる基調講演2。46億年の地球と生命の共進化により動的平衡系として地球システムが形成されている。人類はこのような地球システムのしくみを明らかにする一方で、このシステムの動的平衡を脅かしている。
  • 人類文明は完新世の穏やかな気候・環境下で発展してきたが、産業革命後に人類世を出現させた。さまざまな人間活動の指標が右肩あがりで増加を続けている。「地球の限界」という認識。危機を回避するために「グローバルな持続可能性」への転換が必要である。
  • これまで科学者は何もしてこなかったか?そんなことはない。4つの地球環境変動研究プログラム、それらをつなぐ地球システム科学パートナーシップESSP。ESSPの反省をふまえて、社会科学とも連携してFuture Earthを進める。
  • 社会科学者も取り組んできた。2010年に国際科学会議と国際社会科学協議会の地球環境に関する報告書(グランドチャレンジ)が公表された。これをふまえてFuture Earthが提唱された。
  • Future Earthのユニークな提案:コ・デザインとコ・プロダクション。さまざまな関係者と研究者の連携・協働で企画立案し、結果の利活用も協働で行う。
  • Future Earthのアジアにおける重要性。世界人口の60%以上をしめる。環境悪化のホットスポット。巨大都市化と伝統的社会の矛盾が深刻化。アジアぬきに地球の問題解決は図れない。
  • 東大中島さんによるWCRPからの報告。生態・社会系の意思決定のための物理的基盤に関する観測・予測。4つのGECプログラムの中で最初にスタート。
  • ブラックカーボン:大気滞留時間の短い温暖化物質→インドなどローカルに出ている。ストーブをやめるなどの社会行動の変化が地球環境の変化に与える評価をする。
  • 社会経済とのリンク??? 政策決定プロセスを含む場合、融合的科学戦略はあるのか??? 理工文連携・・・誰がリードするのか??? (中島さんは社会科学との連携をうまく成功させることがかなり難しい課題と考えられているようだ。)
  • 次は植松さんによるIGBPの報告。実例:東シベリア永久凍土が溶けて森林が衰退し、二酸化炭素・メタンが大気中に出ている。熱帯では油ヤシ農園増加により炭素貯留量が低下。海面上昇の長期リスク。
  • 新学術領域「新海洋像」。人間活動による海からの恵みの増加と減少を経済価値で評価するプロジェクト。気温変動の変遷や、地震津波の歴史の評価。
  • 国際連携プロジェクト:共通の問題解決に取り組む。共通の標準手法を用いる。ローカル・リージョナル・グローバルをつなぐ。社会科学との連携プロジェクト:IGBPでは自然科学の最先端を目指していた。仲介センターが必要ではないか。日本のプレゼンスを示すことができる構想。もうすぐ私の番
  • 出番終了。ゆっくり話したので、9分間を使いきった。2つ隣にすわっているOさんから、「私もそう思います。すばらしい」というありがたいコメントをいただいた。すなおにうれしい。内容はいずれ紹介します。
  • 次は氷見山さんによるIHDPの紹介。地球環境問題の重要な背景は人口問題。たとえばインドでは子供がどんどん増えている。自然科学者は人口を数の問題としてしか見ていない(これは私の講演に対するコメントか)。一人あたりのエネルギー消費も増えている。
  • 自然科学だけやっているとわからないことを強調されている。しかし現場を見ることに、自然科学も社会科学もないのでは?
  • 次は沖さんによる水問題の講演。科学も大事だけど、実際に社会を変えるのは私たちだけではない。謙虚になろう。大賛成!バーチャルウォーター交易を考慮すると、貧しい国は貧しいまま。豊かな国は水を輸入できる。
  • タイの洪水2011.日系損保による保険支払い額9000億円>東日本大震災の保険支払い額。世界の自然災害被害は、地震よりも気象災害のほうが大きい(この点は私も同様のスライドを持っている)。
  • 次は山形俊男さんによる講演。人の幸せ、福祉というよりこの表現がしっくりくる。賛成!学術世界外との超学際協働。アジアの主要な問題。国による持続可能性の意味の違い。持続可能性指標の導入。成功例をスケールアップ。
  • 休憩後。蟹江さんによる政治学からの問題提起。ミレニアム開発目標2015以後の持続可能な開発目標が検討されている。持続可能な開発の定義。目標策定の方法論。6つの目標設定。生活、食糧、水、エネルギー、生態系、ガバナンス。
  • 世界的研究ネットワークに入り込み、リードすることが大切。
  • 次は小林さんによる科学哲学からの問題提起。政策指向、パブリックエンゲイジメント、トランスディシプリナリー。科学のオペレーティングシステムを変えようとしている。ラベッツの主張。トランスサイエンス。問題の関係者を問題解決の研究に含める。学際研究の延長ではない。
  • 次は植田さん、経済学。経済学の伝統的テーマ。貧困、不平等、景気循環。成長、福祉、金融政策による解決をはかる。地球環境問題は4つめのテーマをもたらした。ピグー外部不経済。ボールディングの宇宙船地球号の経済学。
  • ローマクラブの成長の限界:資源の制約。もうひとつの課題は、成長だけでは幸福を実現できないという認識。何のための成長かを考え直す必要性。
  • 自然の状態の変化とその評価。自然資本経営、グローバルコモンズを考える必要。
  • 次は岸上さんによる文化人類学からの問題提起。イヌイットの生活研究から。文化(知恵と技術)によって対応してきたが、伝統的な知恵では対応できない事態が生じている。海氷原の不安定化、地下貯蔵庫の融解、油田開発、北極航路の開発など。
  • 次は文部科学省の森さん。1969年トランスディシプリナリーの提唱。万能ではない。グローバルな持続可能性が大テーマ。今までと何がちがうのか。リアルタイムで人的貢献をすることが大事。