大隅さんの受賞あいさつ

「誰もやらないことをやろうと考えて、腋胞でのタンパク質分解系の仕事に取り組んだ。タンパク質分解系がまったく注目されていなかった当時に比べ、オートファジー研究が生物学の中で大きな注目を集め、国際的にさかんに研究されている現状を見ると、隔世の感がある。私たちの発見が今日のオートファジー研究の大きな流れのきっかけとなったことは、とても嬉しい。オートファジー研究において日本が世界をリードしているのは、良い仲間・良い同僚に恵まれたおかげだ。研究を発展させてくれた同僚たちに感謝したい。最近では、すぐに研究成果を求める傾向が強まっていると思うが、私たちの成果は短期的成果を求めずに疑問に思ったことを追求したことで生まれた。「なぜ」という疑問を突き詰める余裕を若い世代が持てる社会であるように、微力ながら努力したい。」
京都賞受賞者として、大隅さんには、これから研究開発政策について発言する機会が増えることと思う。大隅さんのように大きな研究成果をあげた方が、科学のあり方についてしっかり発言をしていただくことは、科学(とくに基礎科学)の未来にとって、とても大切だ。研究のさらなる発展とともに、政策面でも大隅さんの活躍を期待したい。大隅さんなら、きっとしっかりとした発言をしていただけると思う。これから晩さん会。
参考記事:東京新聞ウェブサイト

大隅氏は、細胞が栄養不足の環境で、自らのタンパク質を分解して栄養にする自食作用「オートファジー」の研究で成果を挙げたとして、基礎科学部門で受賞。式では「若い世代が自然に対し、素直に『なぜ』と問いかけられるゆとりのある社会になるよう尽力したい」と述べた。