九州大学アジア保全生態学センター設立

来る5月1日に、九州大学アジア保全生態学センターが設立される。私には「アジア保全生態学センター長を命ずる」という人事通知が届いた。過去10年あまりの努力が、やっと実った。
九大では、生態学だけでなく、昆虫分類学、森林水文学、森林計画学、応用生態工学などの関連分野で、特色ある研究が行われている。しかし、関連分野の教員が多くの部局に所属しており、互いの連携が十分ではなかった。この状況を変えるきっかけとなったのは、新キャンパスへの移転事業だ。新キャンパスでの生物多様性保全事業や環境監視を通じて、分野間の連携を進めることができた。その連携をアジアのフィールドで生かす構想を練って、グローバルCOEプログラムに申請した。2回不採択が続き、代表者を交代したほうが良いというご意見もいただいた。しかし、なんとか3回目の申請が採択された。3回目には、うまくタイミングがあって、東大の鷲谷さんらと連携し、「自然共生社会を拓くアジア保全生態学」というタイトルで申請することができた。昨年度から、リセウム悠遠という箱崎キャンパスの建物に4つ部屋をいただき、実質的なセンター活動を開始した。中国の河川、カンボジアの熱帯林、屋久島、伊都キャンパス(九大新キャンパス)にコアサイトを置き、生物多様性保全やその持続的利用と関連づけながら、生物多様性・生態系に関するユニークな学際的共同研究を進めてきた。
このような活動が「ホップ」とすれば、九州大学アジア保全生態学センター設立は「ステップ」。3年後までには「ジャンプ」を予定している。
5月2日には、九州大学アジア保全生態学センター設立を記念して、下記のシンポジウムを開催する。公開のシンポジウムなので、ぜひ多くの方々にご参加いただければと願っている。保全に関心をお持ちの市民の方々にも、ご参加いただければ幸いである。

九州大学アジア保全生態学センター設立記念シンポジム」プログラム
日時:平成23年5月2日(月)
会場:九州大学医学部百年講堂 大ホール

1:00-1:10 挨拶 有川節夫 九州大学総長
1:10-1:20 祝辞 樋口 聰 文部科学省 高等教育局大学振興課大学改革推進室長
1:20-1:45 矢原徹一:アジア保全生態学センターの紹介
1:45-2:00 記念講演:渡辺綱男(環境省自然環境局長)
2:00-2:15 記念講演:立本成文(総合地球環境学研究所長)
2:15-2:30 記念講演:松田裕之(横浜国大教授・GCOEプログラム「アジア視点の国際生態リスクマネジメント」リーダー)

休憩30分間

アジア保全生態学センター若手スタッフと連携研究者による研究紹介

3:00-3:15 鹿野雄一:中国太湖流域・チャオシー川における保全生態学プロジェクト
3:15-3:30 遠山弘法:カンボジア熱帯林における保全生態学プロジェクト
3:30-3:45 イベラヒム・ドジャマルディン:インドネシアにおけるGIS情報の保全生態学への活用
3:45-4:00 辻野亮:総合地球環境研究所プロジェクト「日本列島における人間−自然相互関係の歴史的・文化的検討」の成果
4:00-4:15 吉田丈人・西廣淳・鷲谷いづみ東京大学):福井県三方湖の自然再生を支援する総合的環境研究
4:20-5:30 パネルディスカッション:アジア保全生態学の課題
記念講演者・若手講演者・事業推進担当者(九大・東大)による討論
6:00-7:30 レセプション (会費制:一般 3,000円、学生 2,000円)

※参加を希望される方は、氏名、所属機関・役職名(「市民」でも可)、レセプションの参加の有無を、平成23年4月26日(火)までに、下記あてにご連絡ください。
GCOE事務 kanri@conservationecology.asia