日本がアジアの架け橋に

国際交流基金による「東アジア次世代リーダー招聘プログラム」という企画のお手伝いをしている。昨日は、生物多様性について45分の講義を担当し、参加者16名の発表を聞き、懇親会では乾杯の挨拶をさせていただいた。そんな仕事を引き受けているから○○ができないんだ、とお叱りを受けそうだが、今回のテーマは、「生物多様性を通じた環境保全―持続可能な発展を目指して」。しかも、見学先に九州大学伊都キャンパスと屋久島が組まれているので、ほかの人には頼めない。私以外の人におまかせできる仕事の依頼は、原則としてすべて断っているが、今回の依頼は私が担当すべきだろうと考えた。
参加者は、ブルネイカンボジア、中国、インド、インドネシア、韓国、ラオス、マレーシア、ミャンマーニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムから各1名、オーストラリアから2名の計16名。職種は、国立公園職員、森林保護局職員、NGOスタッフ、大学教員、研究所職員、新聞記者、大学院生など多種多様。各国から選ばれた代表だけに、問題意識も経験値も高くて、頼もしい。
日本からは、参加者が得られなかったそうだ。大丈夫か、日本。
乾杯の挨拶では、「参加者のみなさんの発表を聞いて、大変勉強になりました。アジアのよりよい未来を共有できると確信しました」と話した。いつわらざる感想である。約30年前に、タイに3ヶ月滞在したころには、このような日が来るとは想像できなかった。当時は、ベトナムカンボジア・中国などに訪問するのは絶望的に困難だった。フィリピンなど訪問可能な国でも、日本軍による侵略によって辛酸をなめた方々を前に、軽々しく訪問できる状況ではなかった。
アジア諸国はいまなお多くの困難をかかえているが、16名の若者が一同に介して、アジアの未来を語り合う機会がいまはある。すばらしい変化だと思う。
乾杯の挨拶では、上記の感想を述べたあと、”We have a bad custom. We must be patient before drinking.”と言ったら、結構受けた。そのあと、「もうしばらくがまんしてください。もうしあげたいことがもうひとつあります。それは生物多様性とお酒の関係です。」と続けて、お酒が植物と酵母の多様性に支えられた恵みであることを紹介し、乾杯をした。
今日はこれから参加者と一緒に福岡に飛び、明日は伊都キャンパス・生物多様性保全ゾーンを見学する。帰路に、浜地酒造に立ち寄って、酒蔵見学をさせていただく。参加者には、「九州大吟醸」をお土産に差し上げる予定。