第1回日中韓大学間交流・連携推進会議
昨夜は、「第1回日中韓大学間交流・連携推進会議」レセプションへの文部科学大臣からの招待を受け、赤坂プリンスホテルに足を運んだ。事前にどのような会議なのか調べずに参加したので、鳩山首相の登場に驚いた。
文部科学省のサイトに会議の概要が報告されている。
→ http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shitu/1292771.htm
昨年10月10日に北京で開催された第2回日中韓サミットにおける鳩山首相の提案を受けて開催された会議だった。鳩山首相は、日中韓の大学生が同じキャンパスで学び、交流を深めることで、「友愛」の精神が育まれ、さまざまな問題が解決され、アジアに本当の平和が訪れるはずだ、という趣旨のあいさつをされた。結構なことだ。小泉首相時代に、日中韓関係は冷え切ってしまった。安部首相時代に関係改善の努力が開始された。いま、「友愛」の人、鳩山首相の時代を迎え、日中韓関係はかなり良好である。
アメリカ合衆国との関係は普天間問題をめぐって冷却状態にあり、先日の訪米では鳩山・オバマ会談は非公式の10分間だけだった。しかし、これは致し方ないと思う。普天間問題に関して、自民党時代の日米合意を実質上反故にしたのだから、この問題が解決するまでは、冷却状態が続くだろう。冷却状態といっても、アメリカ合衆国にとって、日本との同盟関係を捨てるという選択肢はまずあり得ない。一方で、日本はこれまであまりにも「イエス」の姿勢が過ぎた。今回程度の「ノー」を日本が言っても冷却しないような関係を築くことが重要ではないかと思う。
一方で、先日の訪米時に、鳩山首相と胡錦涛主席の間では、約50分間の会談が行われた。次のサイトに、中国側から見た報道がある。
→ http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2010-04/13/content_19803144.htm
胡錦涛主席の4つの提案は、建設的かつ戦略的であり、納得がいくものだ。
一方、日本のマスコミの報道を見ると、
→ http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100413dde001030042000c.html
というように、東シナ海ガス田開発、ギョーザ問題など、個別の利害関係に関する報道だけであり、戦略的対話に関する報道は一切ない。
今回のレセプションで、鳩山首相が日中韓大学間交流を推進していることを知り、日本政府も戦略的に動いていることがわかった。しかし、今朝ホテルでチェックした朝刊には、日中韓大学間交流・連携推進会議に関する報道は見つからなかった。
鳩山首相の支持率は低迷し、5月に普天間問題が解決できなければ、退陣の可能性が濃厚かもしれない。この事態にはもちろん、鳩山首相自身に責任がある。しかし一方で、またしても日本国民は、マスコミの報道に影響されすぎてはいないか。
中国側から見た報道もふくめ、ネット上で得られるさまざまな情報を総合すると、大手マスコミの報道だけでは見えない動きが見えてくる。鳩山内閣は確かにシマウマ内閣で、白い部分と黒い部分があるが、白い部分にもっと高い評価を与えても良いと思う。
もっとも、鳩山首相の言葉には、確かに力が足りない。今回のレセプションのあいさつでも、単に「友愛」という言葉を使うだけでなく、その精神を具体化する何かを、もっと説得力をもって語ってほしかった。日中韓の間にはさまざまな問題がある。これらの問題を未来志向で解決しようという点では一致しているのだから、未来志向を具体化するビジョンを語ってほしいのだ。日中韓大学間交流の方向性はとても良い。しかし、この方向での努力を結実させるために、日本政府としてどのようなリーダーシップをとろうとしているのだろうか。
ただし、強いリーダーシップの下で旗幟鮮明にビジョンを打ち出すよりも、現実的な努力を積み重ねるのが日本流ではある。日中韓大学間交流という方向性が打ち出されたので、私は自分でできる努力をしっかりやろうと思う。他にも多くの方々がこの方向で献身的な努力を払われるだろう。このようにして、現場での現実的な努力を重ねることで、事態はより良い方向に向かうだろう。小泉首相の「強いリーダーシップ」は、一時は熱狂的に支持されたものの、結局は混乱しか残さなかったように思う。