特定外来生物第2次選定

今朝の毎日新聞を見て、びっくり。話題・ひと・暮らし欄に、「ウシガエルカダヤシなど新たに29種 『特定外来生物』輸入・飼育禁止 環境省」という記事が出ている。外来生物法にもとづく「特定外来生物」の2次選定に関する報道である。
記事の本文には、「環境省は9日、食用として流通するウシガエルなど29種類を規制対象の「特定外来生物」に指定する方針を決めた」とある。
私は今年度から、植物種の2次選定に関する委員を引き受けた。最初の委員会には出席して、2次選定にあたっての基本的な考え方について私見を述べた。会議のあと、環境省の担当官に、私は日本生態学会自然保護委員会の委員もしており、学会でも意見を聞いたうえで、広く合意できる方針を考えていきたいという趣旨の意見を申し上げた。
2回目の会議は、日程調整の段階で、私が出席できない日に設定された。このような場合には、事前に資料が届けられ、書面で意見を述べる機会があたえられるのが通例である。しかし、会議の日程が迫っても、何の連絡もなかったので、こちらから問い合わせた。その結果、2回目の会議では、外来種拡大の risk assessmentについてのヒアリングなどが予定されているが、実質的な審議はしない、私の意見については、別途に日程を設けて聞きたい、という返事だった。
ところが、今日の報道である。植物に関しては、2次指定候補として、アカウキクサ属・オオフサモ・ボタンウキクサ・オオカワジシャ・Spartina anglicaの5種があげられている。「7月中に正式決定する」とある。
次回の委員会は、7月25日に予定されている。私は、ウィーンの国際会議から帰国し、成田から霞ヶ関に直行して、この会議に参加する。正式決定はこの会議でということなのだろう。
しかし、選定委員の意見も聞かずに、2次選定候補を報道機関にもらすのは、困る。記者が踏み込んで書いた可能性もあるが、その可能性を想定して対応するのが、行政の責任である。
第2次選定について、日本生態学会からは、セイタカアワダチソウ・シナダレスズメガヤなどについて、指定するように要望書を出している。これらの種を指定するかどうかは、よく議論する必要がある問題だ。学会からこのような要望書が出ている以上、生態学の研究者ともよく合意形成をはかりながら、指定作業を進める必要がある。
私は、この問題に関する議論をできるだけオープンにして、もっとも適切な方針を探っていくつもりでいた。それだけに、今回の環境省の対応には、疑問を感じる。
済んでしまったことは仕方がない。このブログの文章を、環境省と自然保護委員会に伝え、事態の正常化をはかるつもり。やれやれ、である。
この経過をオープンにせずに、環境省とコンタクトして調整するのが穏便な対応だが、環境省の選定委員と自然保護委員会の委員をかねる私がとるべき道は、公開可能な情報をすべてオープンにすることだと考えている。私の意見・態度が、どちらの側からも、また第3者からも、正確に理解されることが肝心だと思っている。