サイエンス・プランを書く毎日

Yale Universityに滞在し、DIVERSITASの新コアプロジェクト、bioGENESISのサイエンスプランを改訂する作業をしている。私はYale UniversityのMichael Donoghueとともに、bioGENESISの議長をつとめている。本来なら、サイエンスプランを3月のDIVERSITAS科学委員会までに完成させる必要があったのだが、私もMichaelも多忙をきわめているため、まだ完成していない。
月曜日以来、昨年のパリでの会議のメモをもとにして、朝から晩まで英語を書く作業をした。その甲斐あって、最後の抽象的なセクションを除いて、改訂作業が終了した。これからMichaelに英語をふくむ最終チェックをしてもらい、bioGENESISの科学委員メンバーに送って承認をとる。
本文の原稿はできたが、まだBOXの原稿が足りていない。BOXに関しては、パリの会議で分担を決めたのだが、これまでに約束を果たした委員は2名だけ。サイエンスプランの改訂版を送るときに、督促をしよう。
今日は、12時半から自家不和合性の進化に関するセミナーがあるというので、Michaelと一緒に出席した。話をしたのはBoris Igicで、岡崎のコンファレンスで一緒だったので、旧知の仲である。セミナーの講演では、自家不和合性と自家和合性の2状態間の推移確率を、ナス科の系統樹をもとに最尤推定した結果を紹介してくれた。Emma Goldbergとの共同研究での結果である。EmmaはLus Landeの弟子で、熱帯と温帯での種分化・絶滅速度の違いを、状態推移確率の推定から評価するという仕事で学位をとった若手。別の会議で一緒になったので、よく知っている。自家和合性の進化と、種分化・絶滅の動態とは一見関係がなさそうに見えるが、実は同じ方法論でアプローチできるテーマである。
欧米では、このようなセミナーが日常的に開かれていて、大学間の交流がさかんである。その結果、アクティブなラボにいる大学院生なら、5年間のうちに、関連分野のおもだった研究者とは顔なじみになる。日本でも国内での交流はさかんだが、国外との交流となると、かなり制約されている。
今回は、M1のF君と一緒に来た。こういう機会を若いときに持てば、海外との交流のハードルも下がるのではないかと期待している。