ヤッコソウの果実


12月も分刻みのスケジュールが続いている。
→ http://seibutsu.biology.kyushu-u.ac.jp/~yahara/schedule/schedule2009nen12.htm
18日は、屋久島を日帰りした。午前中は屋久生物多様性保全協議会の全体会議、午後は屋久世界自然遺産科学委員会。せっかく屋久島を訪問するというのに、フィールドに出ないのはもったいない。科学委員会が3時すぎに終わったあと、ヤッコソウの種子散布を大学院生が観察しているフィールドに車を飛ばし、ヤッコソウの果実を見てきた。
ヤッコソウの写真はネット上にたくさんあるが、果実の写真はほぼ皆無である。図鑑の記載もかなり疑わしい。要するに、誰もまともに、ヤッコソウの果実を観察したことがない。種子散布がどのように行われるかについても、まったく情報がない。
写真は、子房の先端部がとれて、ヤッコソウの果実から種子が覗いている様子である。膨大な数の小型種子が、ミルク状の液体の中にぎっしり詰まっている。一見「めんたいこ」状だが、味はほんのり甘い。少し口に入れてみたが、種子が小さいので、舌触りも悪くない。もうすこし甘ければ、食用にできるところだ。
種子散布に関しては、Mさん、Kさん、T君の観察により、意外な事実がわかってきた。その内容については、彼らの発表を待ちたい。1−2月も観察を続ける予定。この冬の観察結果で、かなり面白い論文が書けそうである。