エンシュウツリフネ


今日は福岡県RDB見直し調査のため、ひさしぶりにフィールドに出かけた。ここ1週間、雨が降っていないため、林床はかなり乾いていた。写真のエンシュウツリフネは唇弁がうまく開いていない。これでもましな方で、唇弁が縮れている花がほとんどだった。
エンシュウツリフネは愛知県と九州北部(福岡県・大分県)に隔離分布している。おそらく2つの地域で独立に他殖性のハガクレツリフネから自殖性の「エンシュウツリフネ」が生じたものと思われる。つまり、「エンシュウツリフネ」は多系統で、2つの分類群に区分されるべきではないかと考えているが、検証する機会がないまま今日に至っている。愛知県でも九州北部でも自生地は限られている。今日訪問した産地でも、個体数は少ない。今のところ、10数年前に比べてとくに減少してはいないが、シカが近くまで生息域を広げているのが脅威だ。シカが進入すれば、すぐに消失するだろう。