警察沙汰・特別セミナー・ジャノメチョウ

一昨日は、Boris Igicを囲んでの夕食会に招かれ、イタリア料理を食べた。夕食会が終わり、9時半ころに博物館横の駐車場に戻ってみると、レンタカーの右ドアのガラスが割られていた。何も荷物は置いていなかったので、最初は単なるいたずらかと思ったが、すぐにカーナビが盗まれていることに気づいた。
とりあえず、そのまま運転してホテルに戻り、AVISの24時間サービスに電話をすると、まず警察に連絡をしろと言われた。警察の調書がないと、保険がおりないらしい。そこで、Yale University Policeに電話で連絡をとり、ホテルまで来てもらった。パスポートと国際免許を見せて経緯を説明し、車の状況をチェックしてもらった。調書ができたら連絡をすると言われ、事件番号(case number)が書かれた名刺を受け取った。
昨日は、Michaelの協力を得て、近場のAVISで代替車が借りられる場所を探してもらい、車を変えた。AVISの事務所で「事件番号(case number)が書かれた名刺」を見せると、警察に電話をして確認をとってくれた。LDW(Loss Damage Waiver)に加入しておいたので、車のガラスの破損は、AVISがカバーしてくれることになったが、カーナビに関してはLDWの対象外だと言われた。Full coverだと言ってたくせにと思ったが、仕方がない。代替車にもカーナビをつけるかと聞かれたので、要らないと断った。便利さよりも、盗難のリスクのほうが大きいことを学んだ。
以前にも、ベネズエラで夜中にガラスを割られたことがあったが、カーナビが盗まれるとは思ってもみなかった。しかし、考えてみれば、いかにも狙われそうな代物である。かなり慎重に行動していたつもりだが、カーナビ狙いは想定外だった。しばらくアメリカに来ていなかったので、この国の治安に対する感覚が鈍っていたようだ。
今日は10時半から、Michaelのラボミーティングでキスゲの話をした。MichaelがDepartmentのMLでアナウンスを流してくれたので、日本から留学している学生も話を聞きにきてくれた。話の内容は好評だったと思う。
12時からは、コネチカットのカエルにおける両性個体の出現頻度を調べた結果についてのセミナーに招かれた。これまで農薬(アトラジン)の影響で両性化する可能性が指摘されていたが、野外調査の結果では、農地周辺でとくに両性個体が多いわけではなく、むしろ都市域に多い傾向が見られた。両性個体の生存力・繁殖力についてはまったくわかっていないという。まずはそれを調べるべきだと思うのだが。
このセミナーのあと、ジャノメチョウのエボデボ研究をしているAntonia Monteiroさん(ラボのページ→http://www.arachnology.org/monteiro/)に、GFPが眼で発現しているミュータントを見せてもらった。蛍光顕微鏡で見ると、複眼がキラキラと光る。とてもキュートだと言うと、Antoniaはいかにもうれしそうだった。研究の主テーマはジャノメ模様の進化発生学なのだが、行動生態学にも明るい人で、話がはずんだ。female choiceだけでなくmale choiceもあり、どちらが選ぶ側にまわるかは、季節によって変わるそうだ。オスが精包を渡すので、メスが選ぶ側にまわる季節(たしか、こちらが雨期)と、逆にオスが選ぶ側にまわる季節があるそうだ。選ぶ模様は同じなので、オスもメスも同じ形をしているという。少し考えてみたが、よくわからない。もっと奥が深そうなシステムである。