シカに食われた南アルプスのお花畑

上記の原稿の続きを執筆中。日光植物園に勤務していたので、日光白根山シラネアオイ群落がシカの摂食で消失した経緯はよく知っている。千株をこえるかつての大群落を知っているものには、いまの弥陀が池は見るにしのびない。

南アルプスのお花畑でもシカの被害が顕在化していると聞いていたので、資料を検索してみた。中部森林管理局のサイトに、「摂食前」と「摂食後」の写真が出ていた。写真を見て、絶句した。無残である。以下は、サイトに書かれていた説明。

  • ダケカンバ林の林床植生が、シカの重要な餌場になっている。食害の結果地被植生が単純になりイネ科草本、マルバダケブキなどが優先しており、今後さらに強い食圧がかかると林床植生の消滅、地表の裸地化が懸念される。
  • また、ダケカンバ林の延長上の雪田草原を良好な餌場として利用しており、雪田植生(お花畑)はシカの採餌場となっている。
  • 藪沢、馬の背、仙塩尾根、井川越、北荒川、塩見岳、本谷山、三伏峠など南アルプスの代表的なお花畑が壊滅的な被害を受けている。
  • 高茎草本が消滅・衰退し、イネ科草本やマルバダケブキが優先する単純植生に変化している。食圧が高い場所は牧草地のようになっている。