特別研究員採用率と修了者の就職状況

学振特別研究員は常勤研究職への近道」で紹介した資料と私の予想を、「学振DC/PC採用率と学振DC/PC終了者の就職状況の変化」と題して、私のウェブサイトに載せた。
リンクのページの、「オーバーポスドク問題関連資料」のセクションで、リンクを設定しておいた。
1枚目のフローチャートは、平成15年度修了者の就職状況。
2枚目のフローチャートは、平成18年度修了者に関する私の「予想」である。どのような仮定をしたかは、図を見ていただければ、ご理解いただけると思う。

この分析は実は「学振以外のポスドク職の数が変わらないと仮定し、常勤研究職・非常勤研究職のポスト発生数も変わらないと仮定して」行われたものではなく,研究職ポストに採用される DC 終了者の絶対数 が変わらないと仮定したものだと言える.しかし,学振出身者が研究職への就職に強いという引用元前半の話や,DC 採用率が増えている (= DC じゃない学生の率が減っている; 応募率がやたらと減ってなければだけど) という話などを考えると,この仮定は根拠が薄い.

というswk's logさんのご指摘は、もっともである。私も仮定の根拠がさほど強いものだとは思わないが、研究職ポストにすぐに採用される DC 終了者数がそれほど増えるとは思えない。研究業績をさらに積み上げているPD修了者の方が、常勤・非常勤を問わず、研究職ポストをめぐる競争のうえでは、圧倒的に有利だろう。
増える余地があるのは、ポスドクだろう。ポスト「21世紀COEプログラム」などが、どれくらいポスドクに予算を配分するかで、DC 終了者の運命は大きく変わるだろう。
いずれにせよ、より正確な予測のためには、学振特別研究員以外のポスドクの動態、研究職ポストの動態などについて、資料を増やす必要がある。
文系に関して、ポスドク職につく修了者の比率が少ないのは事実だが、以前よりは大きく増えている。「21世紀COEプログラム」の効果である。
21世紀プログラム検証結果報告書を読むと、文系で「投資」の効果が顕著である。これは納得のいく話だ。学問水準の問題はおくとして、ポスドクをとる、国際シンポジウムを開催する、海外の学会で発表する、などのアクティビティは、文系では低かった。21世紀プログラムに採択された文系の研究拠点では、これらの指標で、「改善効果」がめざましい。一方の理系では、大して変わりがない。すでに十分高いアクティビティを持っている研究拠点に、予算を配分しているのだから、当然だろう。
なお、この報告書は6.4MBもあるので、一括ダウンロードを試みたが、PCがハングアップしてしまった。